(希家おくべし 第四話) 京町家投資のススメ②~京町家の収益性~

不動産とファイナンス

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京都をこよなく愛し、魅力的な資産と街を考える西村ナオキのブログ!

京都にある不動産会社「八清(はちせ)」の専務、西村 直己と申します。

今回も若干ではありますが早めにお目見えすることができました。

世間が慌ただしいまま収束が見えず、生活の仕方、仕事の仕方、身の処し方が目まぐるしく変わっていくなぁと日々感じています。

投資の方法もどんどん変化していきますので、変化に対応したタイムリーなお話ができるようにつとめてまいります。

「希家おくべし 第四話 京町家投資のススメ②~京町家の収益性~」をお届けいたします。

前回の第三話では、京町家投資の魅力や概要について説明しました。

京町家の投資がおよそどれくらいの水準の収益性があり、どのような特徴を持っているのかは何となく理解してもらえたのではないでしょうか。

本稿では京町家投資での収益性についてもう少し具体的に考えてみましょう。

今回4話では、どのような物件を選べば高い収益性となるのかについて考察していきます

ズバリ!狙うべき 3つのねらい目!

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端的に言うと以下の3点に尽きます!

① 路地奥のリノベ京町家を狙う

② 京都の街中にある物件を狙う=貸せる価値のある物件を狙う

③ 敷地の利用効率の高い小型の物件を狙う

今回はこの各項目とそれに絡む事情についてお話していきますね。

再建築不可物件の割安感

① の路地奥の物件は、再建築不可で土地の担保評価が低いため(今後、再建不可のメリットを記事で詳細に説明していきます)、総じて土地の評価が通常の土地の取引相場の半値程度となります。

建物の方は路地奥のため約10%~20%程度工事費が上がりますが、それよりも先ほど申し上げた土地価格の影響が大きいので、総額が通常の価格より低くなります。

その結果として、物件の投資利回りが高くなることは感覚的に理解していただけるだろうと思います。

売却についても、求めやすい価格のため、大きな問題となりません。

②③について、どういう事なのか解説していきます。

京町家投資で立地が利回りに及ぼす影響とは

② 京都の街中にある物件を狙う=貸せる価値のある物件を狙う

の部分ですが、不動産は立地により地価、賃貸需要、収益性が異なってきます。

不動産投資をよくご存じの方であれば、立地等のリスクとリターンは連動するという法則があるので「郊外のほうが相対的に街中の物件よりも高い利回りになるのでは?」という勘が働くと思います。

それはその通りなのですが、実のところ街中でリノベ京町家を買うほうが利回りが良い時もあります。

リスクをとって少し郊外で投資をしたほうが支出も抑えることができ、結果として高い利回りが得られるという効果はリノベーション京町家の市場においては当てはまらない事が多いのです。

なぜリノベ京町家に投資の定石があてはまらないのでしょうか?

その答えは、京町家が投資マンションやアパートのような純然たる収益物件ではなく、自身の住宅としての流通性も併せ持っていることにあります。

住宅としての流通性も合わせて持っているため、地価や物件価格が収益性と逆相関になるような相場は形成されにくいのです。

また、郊外の住宅では家賃が延床面積に比例して伸びにくい傾向があり、ファミリータイプの家賃相場を分析するとそれが顕著なことがわかります。

ご興味があればポータルサイトの家賃相場などをご覧頂き1R→1LDK→2LDK→3LDKの駅ごとの賃料相場を見比べてみてください。

京都市内では新築もしくはリノベ直後の戸建住宅で床面積80㎡での賃料相場が12万円しか賃料が取れないようなエリアでは、戸建賃貸の不動産投資としての採算は立ちません。

しかも・・・京町家の構造補強を含むリノベーションコストは街中でも郊外でも同じようにかかり、最近は構造補強や小動物対策を重視しているので建築費が高額になる事も少なくありません。

計算してみると表面利回りでも4%を下回ることもままあります。

事例で確認してみましょう。京町家リノベーションの物件事例A、Bを見てみてください

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このように、郊外物件であっても、リノベコストの影響で利回りが相対的に低くなってしまう事もあります。

私情価値と市場価値

以上、事例の利回りの話ですが、郊外特有のリスクがあるにも関わらず表面利回りは街中のリノベ京町家と比べるとほとんど同じもしくは相対的に低くなる事はよく見られることです。

なぜこんな現象が起こるのでしょうか?

それは、賃料と地価は必ずしも比例していないという事が大きな原因であると思われます。

先ほども申し上げた通り、この事例では住宅としての需要があるため、自分の経済力に合い(ローンが組めたら購入の意思決定に進むといったような状態)、地元で環境が良いからという理由で物件を買われる方が多いからではないかと私は考えています。

地元愛で自分の価値観で買われるのは決して悪いことではありませんし、運用を考えていないのならばその価値判断で納得がいく決定をすることは非常に大切ですよね。

しかしながら投資においてその価値観のみで判断・決定するのは尚早です。

投資の基準にすべき客観的な価値判断と自己の価値観の差異を、不動産コンサルタントの山崎隆氏は著書の中で言葉をもじって「市場価値」と「私情価値」の違いと表現しています。

自分が育った故郷に特別な個人的価値を感じる方は少なくありません。

将来的な資産価値はこれまでは気にされないことが多かったのですが、今後は投資するにあたっては私情のみで判断を行うことは最適でないかもしれませんね。

ご両親が自宅近くに住んでいると育児ではメリットが多く、ある意味において経済的メリットとも言えるかもしれませんが、郊外型住宅の面積の広さがもたらす快適性や自然環境というのは、ある意味において贅沢品に他なりません。

労働力だけならばお金を出せば容易に得られますが、資産価値は維持できない消耗財のようなものです。

土地や建物が大きくなると売り出し時の価格は高く設定し易いですが、ぴったり合う買い手が見つかるかどうかは、物件が大型化するほど、特殊な間取りになればなるほど、可能性が低くなり時間が経過してゆきます。

その間も相場はどんどん変動し、マッチングするまで資産価値を維持できるとは限らないのです。

マーケットの主要な需要から外れるほど、相対的な資産価値は時間の経過とともに低くなるものです。

話がすこしそれてしまいましたが、先ほどのような、住み慣れた街だから住みたい、親の近くに住みたいというような価値の感じ方を私情価値と山崎氏は呼んでいます。

対して、家賃に裏付けられた定量的な価値は、過去の統計や取引事例からの「一時点」からの推測ではなく、「現在から将来」にかけて得られるキャッシュフローの総和からの予測に基づく資産としての客観的な価値であり、それを市場価値と呼び前者とは明確に区別しています。

長く高く貸せるそして売れるかが、物件の市場価値を測る上でとても重要なのですね(そのうえで、投資判断は私情価値ではなく、市場価値で行いましょう)。

物件が小さくても、貸しやすいかどうか、さらには物件のある近隣エリアにおいて建物が床面積80㎡あったと仮定し、理想的なコンディション、理想的な間取りであった時の賃貸相場が最低14万円/月以上取れるエリアかどうかを吟味してから選んでいただくと良いでしょう。

理由についてはまた別の記事で説明を行っていきますので、楽しみにしていてくださいね。

収益性を高めるのに適した建物の床面積と利用効率

つぎは、③ 敷地の利用効率の高い小型の物件を狙う、についてです。

立地の次に収益物件としてみたときに適切な建物規模について考えていきましょう。

アパートや賃貸マンションといった集合住宅一棟への投資、もしくは部屋一室の区分所有権での投資であっても、最も利回りが高くなるのは投資性でしか売れない1R物件になるはずです。

京町家の場合は小さければ小さいほど投資向きにはなりますが、利回りがどんどん高くなるかと言えば必ずしもそうとは言えません。

マンションと違い、床面積あたりの土地の取得コストが強く影響しますし、リノベーションにかかるコストは狭小物件だと床面積単価ではどうしても割高になってしまいます。

したがって、平屋の場合は路地奥の安い土地でないと投資として成立しにくいです。

物件が小さくても同じだけの設備や手間がかかるコストが存在するからです。

そのため延床面積35㎡の平屋や50㎡といった小型の京町家でも利回りそのものは必ずしも高くなる訳ではなく中型の京町家と大きくは変わらない事が多いと覚えておいてくださいね。

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以上の3つの路地奥の京町家では表面利回りが高いCが一見よさそうに見えますね。

実際に運営させてネット利回りを算出してみると実際にはA、Bの収益性が高くなることが多いです。

Cは成約までの時間がかかってしまう可能性があり空室リスクが存在します。

小規模なものほど、家賃が低いほど賃貸需要は多くなるので、空室リスクは相対的に低く抑えられるのです。

したがって、立地が良く、延床面積が55㎡以下といった比較的小型の京町家物件のほうが不動産投資には向いているといえます。

敷地の利用効率も大事

実際のところ今まで話してきた中で一番重要なのは敷地の利用効率だったりします。

立派だからという理由だけでは、大きな庭を持つ京町家を収益物件として購入すべきではないのかもしれません。

実際はコンパクトな土地に建蔽率や容積率が目一杯活用されている延床面積が大きい物件の収益性が高くなるのです。

私どもが取り扱っている京町家でも、多少採光を犠牲にしてでも敷地の利用効率が高い物件のほうが賃料=収益性では勝るケースが多いですね。

なんとなく直感的にわかっていただけるでしょうか?

利用効率については次の図のようなイメージで知識を深めていきましょう。

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建物がない部分の土地(庭)が広かれば広いほど、物件としての収益率は低下します。

(ただし全く庭の緑がないとなってしまうのも京町家らしさがなくアンバランスですが・・・)

ここだけの話、建蔽率が現在の基準より超過している京町家はわりと多く存在し、お得という考え方もあります(京町家は基本建築基準法ができる以前の建物だからです)。

図の4つの中でいちばん収益性が良いのはどれだかわかりますか?

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答えは、無論、未活用部分が少ないCです!

建物の間取り/プランが与える影響についてはまた別途記事を立てて不動産業の現場・プロの視点から説明を行っていきますね。

まとめとして、始めに述べていた通り

① 路地奥のリノベ京町家を狙う

② 京都の街中にある物件を狙う=貸せる価値のある物件を狙う

③ 敷地の利用効率の高い小型の物件を狙う

この3点に注意をして物件を選択いただけると収益物件としては良いと考えます。

おわりに

いかがでしたでしょうか?次回からは

【要素①】賃貸用に企画開発された貸家(戸建賃貸物件)の少なさ

【要素②】京町家のリセールバリュー

【要素③】路地奥=再建築不可のメリット

【要素④】「リノベ済み京町家」と「路地」の税務的メリット

この4つの要素について、詳しく説明していく予定です。

お楽しみに!

この記事を書いた人西村 直己
西村 直己
跡取りとして修行中の彼は、自他ともに認める八清随一のエコノミスト。近頃はもっぱら社内改革に勤しみ、さまざまな案件を論理的に分析し、皆を力強く先導する。食事を科学し健康にこだわる彼は3人の愛娘にメロメロ♪

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