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京都をこよなく愛し、

魅力的な資産と街を考える西村ナオキのブログ!

皆さん、はじめまして。京都にある不動産会社「八清」の専務、西村 直己と申します。

ご存じの方もいらっしゃるかもしれませんが、6年前まで「にしむら不動産情報局」というブログサイトで、"京都の不動産事情、不動産ファイナンス(経済価値や収益性、資産性)"について綴っておりました。

京都の収益事業・不動産投資の質問を多数いただいていることを受けまして、この度、八清ブログの場で発信を再開していく事に致しました。

お伝えしたい内容はズバリ・・・!

京都の不動産マーケットとファイナンス、そして八清の展開です!

他の中核都市とは異なる京都の独自性、当社プロデュースによる物件の魅力とポテンシャルなど、皆様の疑問、興味や関心をくすぐる内容を、気まぐれに綴っていきたいと思います。

読者の皆さんに「知ってよかった」「ためになった!」と思っていただける内容を発信してまいりますので、今後ともご愛読のほどよろしくお願いいたします。

先見!世界市場から見た京都とその可能性

京都市内.jpg

京都観光バブルと言われている今、「京都のマーケットは今後どうなるの?」とお考えの方もいらっしゃるかもしれません。

実際のところ、長年にわたり不動産業を営んでいる私でも、今後の取引相場の動向や確実なラインというのは、先々を予測しにくい事もあります。

さらに経済格差や価値観の多様化の影響もあり、一言ではお伝えしづらいところです。

そのことを考慮の上でお話させていただくと、この数年京都市中心部や東山エリアは旅館業バブルというような状況で不動産価値が大きく値上がりしました

今後オリンピックを見据えて「いつピークアウトするのか?」「どれだけ価値が下がるのか?」という懸念をお持ちの方が多いかもしれません。

先に申し上げました通り、京都が国際的認知によるブランド化と観光特需のような複数の要因が絡みますので予測は簡単ではありませんが、少なくとも中心部や東山においては5年前の価格相場に完全に戻ってしまうことはないだろうと私は予測しています。

そのような状況の中でも「京都に投資したいけれど、事情がよくわからないし不安」とおっしゃる方に、1つお伝えしたいことがあります。

"不動産を買うなら街を買え"

京都に限ったことではないのですが不動産投資における、金言です。
なぜなら、都市が持つ街の個性が、不動産の将来価値を大きく左右するからです。

大雑把な議論ですが、グローバルな資産的観点で見れば、日本で不動産を買うべき都市は「東京と京都」ではないかと個人的には考えています。

東京と京都では経済規模や性質が全然違うので、「なぜ京都なの?大阪ではないの?(※1)」と思う方も多いかもしれません。

「日本経済の中心である東京と、日本文化の中心である京都」は、
海外視点で例えるならば「ニューヨーク」と「ミラノ」をさす感覚でしょうか。

生まれも育ちも京都である私から、(主観的でありますが)京都の時事やハイライトを少し紹介させていただきますね。

京都へは文化庁の移転が決まっておりますし、天皇を再び京都にお迎えするのだという"双京構想ーそうきょうこうそうー(※2)"というビジョンがあります。

また、京都にはデジタルでは決してコピーできない唯一無二の、有形無形の文化財産が山ほどあり日本文化の総本山と言えます。

文化観光都市というだけではなく、「京セラ」「任天堂」「オムロン」「ローム」「村田製作所」「堀場製作所」「日本電産」などのハイテク産業もあり、東京に次いで大学を有する学術都市でもあります。

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最近では今年8月25日にはAppleStore京都が四条高倉にオープンし、世間をにぎわせていたのはみなさんの記憶に新しいことだと思います(画像:四条高倉の交差点から東を見て撮影)

SNSで一躍有名となった「Line」の開発拠点が京都の繁華街に置かれましたし、他にも名刺管理アプリで有名な「sansan」、AIによるサービスが活発な「エクサウィザーズ」、人材から不動産まで幅広い業域をもつ「リブセンス」などなど・・・。

学生や留学生の確保や京都のクリエイティブな人材を求めて、京都市内で次々に開発拠点を開設する東京のIT企業が増えています

企業が京都の独特の風土に、創造のポテンシャルを見出した結果と言えるのではないでしょうか。

このような "性質の違うもの同士""古いものと新しいもの"が絶妙のバランスで融合する多様な風土が「経済規模ではなく質」の競争において京都が勝ち残る大きな可能性があると個人的に考えています。

さて、ここで皆様が気になる京都の不動産マーケットの動向です。

好立地という前提条件はありますが、京都市内のマンションのここ10年の平均賃料は面積が大型になればなるほど統計的に上昇傾向にあるようです。

◆参考マンション賃料インデックス 公表資料 2018年第1四半期 【外部リンク:アットホーム様】

京町家のマーケットも同様なのですが、大型物件の賃料上昇は京都の中心部での物件供給が少ない事と、市外の富裕層の流入が関係しているのではないかと個人的には分析しております。

実際に売買では3億円以上の分譲マンション、賃貸では30万円を超える高級賃貸物件なども最近は成約しているようです。

"京都らしさ"× 不動産価値

鴨川沿い.jpg

ところで、旅行や出張などで遠方に出かけられた際に「どこも同じような風景だな・・・」と思ったことはありませんか?

街の消えゆく個性について書かれた「ファスト風土化する日本(※3)」の三浦展さんの著書の論評についてふれたいと思います。

多くの中核都市ではショッピングモール、フランチャイズ店舗、外資系店舗・・・似たような店ばかりが増え、個性のある喫茶店や横丁は再開発や賃料値上げで姿を消しつつある状況に警鐘をならす内容です。

便利なモール、大企業のチェーン店が増える一方で、街の景観は画一化し悲しいことに没個性的な街ばかりが増えていっております。

しかしながら、そのような事情に対抗すべく、個性を活かして街をおこそうと各地で地方活性化(※4)が進みつつあります。

(私のFacebookにてちょこちょこと視察時に地域のユニークな施設・体験などをレポートしておりますので興味がある方はぜひこちらもご覧ください ≫≫西村直己 Facebookページへ

その中でも京都市のように、戦前の伝統建築である京町家が今でも4万軒あまり残っており、積極活用され、強力な景観政策を推進されている都市はなかなかありません。

新しいものと古いものが共存する京都の特殊性や独自の生活文化や地域コミュニティが継承され、宿泊施設と住民の調和が進み、京都らしい美観・景観がさらに改善・進化していけば、京都の中長期的な不動産価値には必ずプラスに働くはずです。

くらべてみた!京都のスケール感と地域性

京都市の人口は約147万人と東京都特別区(東京23区)の7分の1ですが、市域は827.83平方㎞と東京都特別区よりも1.3倍広く、実に様々な景色があります。

京都と東京の人口・面積をイラストにしてみました。

京都市・東京23区比較.jpg

さすが、首都東京都の23区!人口ものすごいですね(笑)

京都市でみると、実際のところ半分は山(!)です。

中心部に人口が集中しているのは東京と同じなのですが、京都市内の町の通りからは必ずと言っていいほど先に山が見えます。自然が近いんですね。

京都R不動産の水口氏のブログで紹介されていたのが興味深かったのですが、東京の山手線の概形を京都市の地図に置いてみると碁盤の目の市街地がすっぽりはまります。

(北は北山通、東は白川通、西は西大路通、南は十条通、イメージイラストも用意しました)

京都市・東京23区比較_スケール.jpg

京都の商業地は中心市街地の中の一部に過ぎないことから、東京から見れば京都は自然が身近にあるコンパクトシティーと表現する事もできます。

京都市の中でも積み上げられた歴史や文化度の違い、子育ての環境としての良し悪しのような地域特性があり、各エリア間にはかなりの不動産格差があります。

この不動産格差はグローバル資本主義経済の中で今後さらに拡がるのではと予想されます。

不動産投資のみならず住宅購入においてエリア選びは、お客様のライフスタイルの実現や資産形成の観点では非常に重要になります。

またこの辺りの論評は、連載中に記事にまとめていきたいと考えています。

きか、おくべし!~ブログのネーミングにこめた想い~

タイトルについて触れておりませんでした。

実は私、中国史が大好きで、史実を元に書かれた著書を読み漁った時期があったのですが(笑)

「希家、おくべし!!」は「史記」呂不韋-りょふい-(※5)伝の故事「奇貨居くべし(きかおくべし)」からの着想を得ています。

本来は「珍しいものはとっておけば後に大きな利益をもたらす」というような意味なのですが、私の「希家居くべし」は少し解釈が違います。

解体が進み「希少性」が増す京町家は、京都の美しい景観には欠かせない財産であり、京都にとっての「希望」です。

短期的視点(投機)での損得勘定ではなく、中長期で町家や既存家屋を保全・活用いただき、未来の京都が京都らしくあるために個性を守っていく。

京都にとって良いことに貢献(投資)頂いて、京都での暮らしを楽しんだり、安全資産として所有したり、収益が得られることに関心を持っていただける方が増えたらいいな。

京町家や八清がプロデュースするものが、あなたにとっての"奇貨"ならぬ"希家"になれば―。

そんな想いで考えたネーミングです。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
今後も継続して発信していきますので、またお時間のある時に読んでいただけたら幸いです。

次回予告!「投資の基礎」です、お楽しみに!

あとがき

「えっ、基礎をやるの?」

このブログを読んでくださる方にとって投資は身近で当然なもの。「投資のことはよく知っているよ」とおっしゃる方がほとんどかもしれませんね。 実際に、私自身投資について日々考える立場なので、全くその通りなのですが(笑)。 基礎をテーマにして文章に書き起こすということは、初心に立ち返りその意味を再度見つめ直すこと。 投資に関して詳しいからこそ、立ち返った時に新たな発見があったりするものです。 みなさんの「なるほどね」「そういう考え方もあるのだな」「そういえば知らなかった」を引き出せるような内容を綴っていきたいと思います。 また、投資に詳しい方だけでなく、初心者の方にも読んでいただけるとありがたいです。

【注釈】

※1大阪には独自の特性があり、一刀両断にできないところではありますが、西村ナオキの抽象論ということでお読みください。【※1の本文へ戻る】

※2双京構想(そうきょうこうそう)とは
『日本の大切な皇室の弥栄(いやさか)のために,皇室の方に京都にもお住まいいただき,政治・経済の中心である「東京」と文化の中心である「京都」が我が国の都としての機能を双方で果たしていくこと』(京都府ホームページより抜粋)【※2の本文へ戻る】

※3『ファスト風土化する日本』三浦 展 著
出版: 洋泉社 (2004/09) 言語: 日本語ISBN-13: 978-4896918472

ファストフードと掛けたネーミングが面白いですね。【※3の本文へ戻る】

※4地方創生(ちほうそうせい)とは
人口急減・超高齢化という我が国が直面する大きな課題に対し、政府一体となって取り組み、各地域がそれぞれの特徴を活かした自律的で持続的な社会を創生することを目指します(内閣府ホームページより抜粋)【※4の本文へ戻る】

※5 史記と呂不韋(しき と りょふい)
中国の前漢時代の歴史家である司馬遷(しばせん,紀元前145年・135年~紀元前87年・86年)が書き残した紀伝体の歴史書『史記』。その中の呂不韋列伝の第二十五が「奇貨居くべし(きかおくべし)」である【※5の本文へ戻る】

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