建築鑑賞というとお固く聞こえるかもしれませんが、建物を愛でることで、まちと自分の距離がぐっと近づく、いつもの日常がちょっと愉快になる。
お得な趣味だなと思ってゆる~く続けています。
プロパティマネジメント部の鴻巣です。
最近まち歩きをしていると、「鑑賞中」な人たちをよく見つける気がします。
周辺には最大限配慮しているけど、やっぱり気になるあの丸窓、タイル、瓦の紋...!という心の声が聞こえてきそう。
わかります!こっちにも可愛いのが!と声をかけたいときもありますが、写真撮影も気になる建物内部拝見も、簡単にはできないしできても遠慮してしまうもの。
そんな建築へのワクワク、大っぴらに共有して楽しめる機会があります。
「建築公開イベント」です。
関西だと「イケフェス大阪」が有名で昔からあちこちで行われていますが、最近始まったものに「京都モダン建築祭」「神戸モダン建築祭」があります。
「東京モダン建築祭」も2024年から始動。
所有者さんのご厚意でたくさんの通常非公開の建築、より深く楽しめるツアーも数多く催行されています。
2024年度、八清は「京都モダン建築祭」へ協賛、連携イベントとして町家の見学会を開催しました。
個人的にもお手伝いさせていただいたので開催側の視点でとても楽しめたのですが、今回は「神戸モダン建築祭」へ参加者として行ってみることにしました。
そして、神戸北野へいくのなら...とその雰囲気のままいつか行ってみたいと思っていた、「北野ホテル」での「世界一の朝食」を体験してきました。
神戸モダン建築祭
神戸モダン建築祭の公開建築開催エリアはざっくり4つ。
北野/山の手、三宮/元町/港湾、六甲/御影、湊川/兵庫です。
パスポート購入で見られる公開建築は23か所、ガイドツアーや関連企画の参加も含めると、全73か所もの建築物が参加。
開催期間3日間、回りきるのはとても無理...!
また来年、を楽しみに、今回は主に北野エリア、行けそうなところや目を興味を持ったところを回りました。
少しだけご紹介します。
北野エリア
海側から坂を上がったところにあるいわゆる異人館エリアでちょっと観光地っぽくなっていますが、訪れたところ1つ1つ、地域の方々や所有者さんが大事に受け継いでこられたんだなと感じることができました。シュウエケ邸(旧ハンセル邸)
1896年に英国の建築家アレクサンダー・ネルソン・ハンセル氏の自邸として建てられた、英国式邸宅です。
京都だと同志社大学のハリス理科学館、平安女学院の明治館もこの方の設計とのこと。
緑の切妻屋根は、ハーフティンバーをイメージしたデザインになっているそうです。
これにいぶし瓦がのって更にはなんと火よけの鯱(しゃちほこ)、お庭には芝生に石灯籠。
和洋折衷のデザインが妙にいい味を出しています。
現在も2階は住居として利用されていますが、驚くのが入ってすぐ、室内に所狭しと配置されたアンティークの家具や絵画。
一つ一つ見ていたらきりがありません。
シャンデリアにカーペット(ペルシャ絨毯)、当時の生活を彷彿させます。
結婚式場としても活用されているそうですが、どこからどう撮っても絵になる...もっと写真スキルがあればと建築巡りしながら思いますが、特に思う建物でした。
中華民國留日神戸華僑總會(旧ゲンセン邸)
こちらもA.N.ハンセル氏の設計といわれる1909年ごろの木造2階建の邸宅です。
建設当時の雰囲気をほぼそのまま残している建物だそうで、たくさんの人が訪れていました。
こちらはサンルームの雰囲気がとても素敵!
コロニアル様式に後で窓を取り付けたりしているそうで、なるほど確かにサンルーム内部に鎧戸が取り付けてあり、水はけをよくするために少し斜めに傾斜がついています。
建築祭中、台湾茶の試飲会も開かれており大盛況!
とてもおいしかったです。
ちなみに、これらの異人館は所有者の変更により何度か建物の名前(通称)が変わっていて、昔から修復にかかわっている方々はちょっと混乱することもあるのだとか。
長年守り続けてこられている方々の尽力でこのまち並みを楽しめるんですね。
クラブ月世界
異人館めぐりからのギャップが激しいこちらは、1969年にキャバレーとしてオープンした「クラブ月世界」。
豪奢なシャンデリア(?)の向こうに見えるキッチュな「クラブ月世界」のロゴがおしゃれです。
ステージをぐるっと囲む、低いソファには昭和レトロな照明も。
今も現役の大人の社交場、ここだけのリッチな別世界をつくりだしていました。
これこそ建築祭でないと見に来れない...
流れるムーディな音楽を聴きながら、ちょっとゆったりと座って過ごせました。
ここにはどんなステージが似合うかなと想像も楽しいこの場所、ぜひ行ってみていただきたいです。
推し建築カード
神戸モダン建築祭で、いいなあ~と思ったのが、手書きの推し建築カード。
建築好きならたぶんXでフォローしたことのある、建築ユニット「わくわく建築」のコジマユイさんの描かれた素敵なカードが配布されていました!
私は中華民國留日神戸華僑總會のカードをゲット。
こういうのって、コンプリートしたくなるんですよね...八清でもこんな感じで物件を楽しく紹介できたりしないかな、と思いました。
北野ホテルで、世界一の朝食を
神戸の街をたくさん歩いてめぐった後は、北野ホテルで1泊。
シュウエケ邸のすぐ近くにある、異人館の雰囲気そのままのクラシカルな内装やお部屋が素敵なホテルでした。
スタッフさんも丁寧で、ウェルカムスイーツとしていただいたレモンケーキも絶品!
気に入ってお土産に購入しました。
こちらで一番楽しみにしていたのが、「世界一の朝食」。
「ホテルの総支配人で総料理長び山口浩氏が、師匠のベルナール・ロワゾー氏より公式に再現を許された朝食」とのこと。
世界一というからには、よりよい場所で体験してみたい!と神戸北野テラスでの朝食を選択しました。
朝、ホテルの方が丁寧にお見送り下さり、流れる音楽も優雅な車に乗りこんで5分ほど。
山の上にある北野ホテルの別邸、神戸北野テラスに到着しました。
とても天気が良く神戸の絶景に圧倒されました。
室内は壁側にも鏡が貼られていて、どこにいても素敵な景色を楽しめます。
席についてしばらくすると運ばれてきた机いっぱいの世界一の朝食は、聞いていると5分もなかったように思いましたが、スタッフさんが1つ1つ丁寧に案内してくださいます。
ちょうどよく温められたさくさくのクロワッサン、絶品の生コンフィチュール、タピオカ・オレという一皿は、甘く炊いたタピオカにドライフルーツやナッツが入っていて新食感!
ほうじ茶の香りも香ばしく、おいしくてクセになりました。
「飲むサラダ」として出てきた目にも色鮮やかな野菜やフルーツを使ったジュースもおいしく、おなか一杯に。
朝の日の光に照らされる神戸の街を見ながらの朝食は確かに特別な体験で、いつもは忙しくすませてしまう食事をちゃんと味わうこと、味わう空間を選ぶことって大事だなと思い直した体験でした。
景色と食事に夢中になってしまい、いい写真を撮り忘れてしまったのを理由にまたぜひ行きたいです。
この建物自体は50年ほどたっている古いものを活用しているとのこと。
こちらの朝食はホテルでも食べられるのですが、この神戸北野テラスで食べるのが絶対にいいと思います。
大きな付加価値だと思いました。
スタッフさんも対応がとても気持ちよく、来ることができて良かったです。
建築鑑賞に忙しく歩いていたら、あっという間に終わってしまった神戸滞在。
面白いのは、神戸モダン建築祭のスタッフさんの中に京都モダン建築祭のスタッフさんやイケフェス大阪のスタッフさんが多数おられたこと。
チーム感が感じられたし、年齢層が割と老若男女幅広くあったのも、今後の楽しみ方が増えそうだなあと思いました。
建築祭で思う存分見たい建築を見て、最後は素敵なおもてなしと食事で締める。
ちょっと忙しいですが、満足できる過ごし方だなと思いました。
神戸モダン建築祭は他のエリアにも行ってみたいところがたくさんあります。
2025年は11月に一部のエリアでの特別イベントを行い、2026年からは、5月開催になるとのこと。
神戸モダン建築祭2025
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八清社員が日本各地へ興味が赴くままでかけ、見て、聞いて、普段の業務では得られない知見を広めてきましたのでレポートします。
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