今回の出張研修では司馬遼太郎とゆかりの深い四国で、歴史ある宿を巡ってきました。
京都から新幹線で岡山へ、そこから瀬戸大橋を通り四国へ向かいます。
瀬戸内の凪いだ海は心を落ち着かせてくれます。
車窓を眺めるうちに高松につきました。
愛嬌のある駅がお出迎えしてくれます。
栗林公園やうどんなど見所やおいしいものが多くある町ですが、今回は早々に道後温泉のある松山へと向かいます。
松山を散策
瀬戸内海を横目に車を運転すること2時間で道後温泉につきました。
今日宿泊するのは「旅館常磐荘」です。
大正時代の雰囲気を残しつつもきれいに改装されています。
道後温泉本館まで徒歩2分と近い場所にあるのも良い点です。
内装も昔の雰囲気が残っていて落ち着きます。
館内電話などの調度品もレトロなものが選ばれており、雰囲気によく合っています。
客室にテレビがなく、ラジオが置いてあるのも面白い点です。
窓からの景色です。
狭い道幅や町家のような建物など、まち並みも古くからある風情を感じられ旅情を掻き立てられます。
料理は鯛づくしでとても美味しかったです。
夕食をいただいた後、道後温泉本館へ向かいます。
夜の温泉街に提灯や白熱電球によって浮かび上がる道後温泉本館はとても幻想的です。
道後温泉本館は1894年に改築された近代和風建築です。
改築された、というのには経緯があり1890年頃、道後温泉のある道後湯之町の最大の懸念は道後温泉の老朽化でした。
そこでちょうど町長に就任した伊佐庭如矢氏が自身の給料をすべて改装費とし、1894年に竣工したのです。
執念ですね。
そんな道後温泉も2019年から2024年にかけ再度の改修工事へ入り、1890年時点の構法そのままに直されました。
これまた執念ですね。
この日は夜遅く、神の湯のみの入湯となりましたが、とてもいいお湯でした。
朝6時に起き、道後温泉本館再チャレンジをします。
昨日は入れなかった霊の湯、休憩室、坊ちゃんの間を目指します。
どの部屋も窓が大きく、もう少し暖かい季節だったら風がとても心地よいのだろうなと思いました。
また「又神殿」という天皇のための浴室も見学することが出来ました。
松山といえば「坂の上の雲」の舞台ということで、坂の上の雲ミュージアムに来ましたがなんと休館日でした。
安藤忠雄氏の設計のようです。
気を取り直して作中に出てくる松山城に来ました。
松山城から松山市街を見下ろします。
秋山兄弟や正岡子規がみたまちとはかなり様子が変わってしまったとは思いますが、瀬戸内海は変わらず穏やかだったんだろうなと思います。
松山城ですが城郭がかなり保存されています。
実はこれも前述の伊佐庭如矢氏が保存運動を行ったためです。
道後公園の整備、道後鉄道の建設も伊佐庭氏が行っており、まちづくりに尽力した男の執念を見た気がします。
松山市ですが、見落としたところ、行けてないところがたくさんあるので再度訪れてみたいです。
高知へ
四国を横断して高知へ向かいます。
第一の目的地は坂本龍馬記念館です。
意外と身長のある坂本龍馬が出迎えてくれます。
手が大きかったです。
坂本龍馬の展示はもちろん、ジョン万次郎の展示が面白かったです。
坂本龍馬は倒幕のために腐心したわけですが、当時の都は京都ということで(今もそうかもしれませんが...)京都の話がたくさん出てきて面白かったです。
特に龍馬が潜伏していた醤油屋などは京町家そのものといった造りで、八清の町家を扱う業務も歴史の延長線上にあるんだなと、思いを新たにしました。
特別展の「天誅」もかなり面白かったです。
高知市街に戻って「沢田マンション」へ向かいます。
大学生のころからずっと行ってみたかった建物です。
セルフビルドで建てられた鉄筋コンクリート造マンションという驚異の物件で1971年の竣工から形を変え続けています(今は耐震補強等メンテナンスがメインらしいです)。
施工は大工のご夫婦とその一家です。
沢田マンションのすごい所は、自分でコンクリートを練って作り上げたという点にもありますが、自由すぎる計画です。
ベランダと共用廊下が兼ねられていたり、5階にある大家自宅まで自動車用スロープが建物を巻き込むように配置されていたり、屋上に畑があったりと必要なものを入れられるところに入れたといった計画がなされています。
その結果よく分からないところによく分からないものが配置されているけど、なんとなく使いやすそうなのがすごい所だと思います。
通常建物の合理性というと、いかに容積を稼ぐかなどにフォーカスされがちですが、それだけではない独自の合理性がとてもよかったです。
物を作りたい欲求がとても刺激されました。
高知市街を離れて室戸岬へと向かいます。
天気はあまり良いとはいえないものでしたが、自然の荒々しさが却って心地よかったです。
室戸岬へとひた走り岬観光ホテルにつきました。
1934年に竣工し、90年以上も太平洋から吹き付ける激しい風雨に耐え抜いてきました。
外観はロッジといった感じで当時としてはハイカラだったんだろうなと思います。
高知で唯一の泊まれる登録有形文化財だそうです。
内装もロッジのような古い雰囲気が残っていてとても素敵です。
一方、客室は旅館のような純和風の作りでギャップが面白いです。
オーシャンビューも良い感じです。
明日は太平洋から昇る朝日を見る予定です。
というわけで日本の夜明けです。
龍馬が実際そう言っていたのかは知りません。
室戸岬ですが、四国の中でもかなり突き出したところにあるため、海がとても広く見えます。
また、岬自体が波をかき分けるのが、荒々しくとても見応えがありました。
夜明けからしばらくすると波が朝日を反射したクリーム色と、夜の青色に溶けてさざめきとてもきれいでした。
行くまで知らなかったのですが室戸岬は自然も豊かです。
亜熱帯の植物が生え、色々な形の岩が点在しています。
瀬戸内海と太平洋の両方を堪能しました。
本州までフェリーで帰るため高松まで戻ります。
乗るのはジャンボフェリーです。
瀬戸内海だから揺れないし、設備もよく、デッキで陽光のもと潮風にあたっているうちに神戸に到着します。
神戸に着いたら中華でも食べて帰りましょう。
そして何より、
船内でうどんが食べられます。
今回食べたのは小豆島のオリーブとレモンが入ったうどんです。
すこぶる美味しかったです。
瀬戸内海の島々をながめつつ、
神戸に着くとこの夜景です。
ぜひおすすめしたいです。
今回の研修では建物と建物を巡る人々の思いを見ることが出来ました。
その土地を愛し、盛り上げようとした人々の思い、それを維持してきた人々の思いを、建物、まち、国など様々なスケールで体験することができた研修でした。
京都を盛り上げ、京都らしさを残していくことに貢献できればと思いました。
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八清社員が日本各地へ興味が赴くままでかけ、見て、聞いて、普段の業務では得られない知見を広めてきましたのでレポートします。
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