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今回は全く私の個人的な意見を書かせてもらうので気になったらすみません。

先に謝っておきます。

私自身どんなおばあさんになるか、現在、模索中です。

というのも最近身の回りにわがままなおじいさんが増殖しているように感じて、年を取ることの難しさを感じているからです。

図書館の中でも大声で話し続ける、若い人を見ると説教を始める、自分の話を聞いてくれないと拗ねる等々。

もちろん「他人のふり見てわがふり直せ」なので、自戒を込めて眺めています。

通っている英会話caféにも「停年退職後の困ったおじさん」がたくさんきます。

上から目線で唯我独尊の姿勢が特徴と言えばおわかりいただけますか。

ところが何回も京都に通っているうちに気づいたのですが、京都には個性的でおもしろいおじさんが多いのです。

というのは京都に行くたびに、ユニークなおじさんたちに遭遇するからです。特に喫茶店では素敵なおじさんたちを見つける機会が多い気がします。

今回は私の経験から具体的な例を上げつつ、なぜ京都にはチャーミングなおじさんが多いのか考察してみたいと思います。

イノダコーヒー本店にて。白麻スーツの紳士

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お盆の京都、熱波の中、干上がりそうになりながらイノダコーヒー本店にたどり着き、アイスコーヒーをオーダーしました。

本店の旧館の雰囲気が好きで、そちらを選んだのですが、残念なことに、その時は隣の建物が改装中で工事の音がうるさく、席を移動させてもらうことにしました。

ところが移動後の席はエアコンの前で逆に寒さに震えることになりました。

一度、席を移動させてもらった手前、じっとこらえて、「アイスコーヒーじゃなくてホットコーヒーにすれば良かったかな」とぼんやり思っていました。

その時、近くのテーブルに座っていた高齢の男性が、店のスタッフに「ちょっとエアコンきつ過ぎるなぁ。悪いけどもうちょっと抑えたってくれへんか」と言ってくれました。

きれいなオールバックの白髪、白麻のスーツを着こなした姿は、東京では見たことがありません。

「おじさん」ではなく「おじさま」と呼ばせていただきたい方でした。

たぶん首にスカーフを巻いて縮こまっている私を見かねて、お店の方に伝えてくれたのだと思います。

常連らしくお店のスタッフへの物言いも優しく、さりげない振る舞いに感動しました。

その後、待ち合わせで現れた女性も美しい方で、2人でしばらく会話した後、どこかに連れだって出かけていきました。

まるで映画のワンシーンのような紳士でした。

静香にて。中学時代のことを謝りに来るおじさん

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ゴールデンウイークのある日、友人と京都巡りをしようと、北野天満宮の近くのゲストハウスを予約しました。

待ち合わせは現地近くの千本今出川交差点の南側にある喫茶店。

前から行ってみたかった静香です。

若い女性のスタッフはアルバイトなのか娘さんなのか、もしくはお孫さんなのか。

そして奥に高齢の女性がのんびりと座っていました。

少し早めについた私は、昔ながらの喫茶店の雰囲気を楽しんでいました。

こういった店で持ってきた文庫本を読むのが大好きです。

そのとき、おじさんが入ってきて飲み物をオーダーしました。

常連さんなのかなぁと思って眺めていたら、突然「おばさん、僕のこと覚えてはりますか?中学生のとき、ここで騒いでよう怒られたんです」と話し始めました。

仕事の関係で長い間、京都を離れていたようですが、しばらくぶりに戻ってきたそう。

懐かしさのあまりにこの喫茶店に立ち寄った様子です。

店主のおばさんは、記憶にないらしく「そんなこともあったかいな~。まあ立派にならはって」と答えていました。

きっと騒ぐ男の子たちを叱るのは日常茶飯事だったのでしょう。

直立不動のような姿勢で昔話を語るおじさんは、まるで当時の中学生に戻ったよう。

なんて可愛いおじさんなんだろうと思いました。

チロルにて。一日に何回も怒られに来るおじさん

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またまた暑い京都での話です。

泊まっていたゲストハウスのエアコンが壊れるという悲劇に見舞われた私は、朝から涼しい喫茶店を探してうろうろしていました。

たどり着いたのが以前から来てみたかったチロルです。

朝からカレーが食べられるという評判でしたが、さすがに食欲がなく、アイスコーヒーとトーストをオーダーしました。

そこにおじさんが飛び込んできました。

店主らしいおばさんは、そのおじさんに「こんなに暑いんやから、水飲みや」と叱っています。

おじさんは「もう今日は3回目やで。そんなに水ばっかり飲めへんわ」と答えています。

「何言うとるん、今日みたいに暑い日は何回でも水飲まなあかんで。熱中症になったらどないするん」とおばさんも負けません。

そのときはまだ午前中、10時位でした。こんな時間にもう3回もこの店に来てるということは、かなりの常連です。

しぶしぶおじさんはおばさんが入れてくれたお水を飲んでいました。

なんとなく、そのおじさんは店主のおばさんに叱られることを楽しんでいるのではないかと思いました。

漫才のようなやり取りは、阿吽の呼吸で繰り広げられ、聞いている私も思わず笑ってしまいました。

なぜ「京都のおじさん」はチャーミングなのか

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京都の昔ながらの喫茶店に行くと、かなりの確率で、こういったおじさんたちに出会えます。

なぜこんなにも魅力的なおじさんが多いのか。

やはり会社員だけではなく、商人や職人が多いまちだからではないでしょうか。

東京で会うおじさんは、たとえリタイアしても、前職の肩書を忘れず、ついマウンティングしてしまう人が多いような気がするのです。

ところが京都ではそんな経験がありません。

人付き合いに余裕があるというか、会話をおもしろがるような方が多いです。

たとえば道に迷って行き方を聞いても、ていねいに教えてくれる。

地蔵盆に参加させてもらったときも、東京のおじさんたちが苦手な何気ない雑談が上手いおじさんたちがいる。

肩書にとらわれず個人で活動しているから、リタイアしても自分の居場所を持ち続けられるのではないでしょうか。

特に、イノダコーヒーは本店も三条店も、朝のひとときが面白いです。

まだ観光客の姿は少なく、常連のおじさんたちが新聞を読みながら、思い思いに朝の時間を愉しんでいます。

時間を重ねてきた自信のようなものを感じるのです。

まったく私の独断と偏見かも知れませんが、こんな感じで年を取っていきたいと思わせてくれる人生の先輩が京都にはたくさんいます。

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