サービスマネジメント部所属の橋本です。

経理・労務・管理・総務の事務職全般をやっております。

入社して十数年、会社の変化に一喜一憂しております。

他府県出身の社員が多い中で、私は数少ない生まれも育ちも京都市民ですので、京都市民の視点から、京都の暮らしをお伝え致します。

祖父母の家は京町家

京都市民は、京町家に住んでいても京町家だと思っている市民は少ないので、どんどん解体されています。

私自身も、八清に勤めてから京町家の改装前物件を見学した際に、なんだか懐かしい気持ちがし、「見たことある!!」と思ったら、祖父母の家が京町家でした。

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かつての祖父母の家

 

祖父母の家はすでに解体されてしまい、私にとっては子供の頃の記憶でしかありませんが、連棟の京町家でした。

格子のある外観で、2階へは押し入れ階段、トイレは外、お風呂は五右衛門風呂でした。

私自身、この五右衛門風呂は数回しか入ったことがありません。

父曰く、祖父の好みで町内の中で唯一、五右衛門風呂を増築した珍しい家だったようです。

現存すれば、貴重なものです。

祖父母が家を手放してから、家のあった近くの道を通った際、長屋はすべて解体され新築になっていました。

私が遊びに行っていた頃、すでに路地の中は、北側は新築、南側は京町家でした。袋小路ではありましたが、前の道が広かったため、新築が建てられる路地だったようです。

同じ市民であっても......

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京都市民であっても、住んでいる地域によって、他府県の方が想像するイメージと少々違いがあります。

私は、中京区の西の端エリア に住んでいますが、住んでいるエリアのことしか案外知りません。

中京区といえば有名な祇園祭も、西の端ですとエリア外となり、観光客と同じような気分です。

私の子供の頃は、祇園祭は宵山の夜店を楽しみにしていた記憶しかありません。

小学校高学年ぐらいに、祇園祭があるエリアの小学校は巡行日がお休みと聞いて、みんなで羨ましがっていたぐらいです。

年齢とともに、エリア外の友達が出来て、偶然にも友達のお兄さんが長刀鉾の囃子方(はやしかた)だと聞いた時は少し身近なお祭りになりました。

北野天満宮と氏子区域

私の住むエリアの一番のお祭りは、北野天満宮の御旅所が近くにあるので、北野天満宮のずいき祭です。

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御旅所に駐輦(ちゅうれん)される、ずいき神輿

 

ずいき祭りとは、北野天満宮で10月1日から5日に開催され、京都の代表的な秋祭として知られています。

菅原道真公が大宰府で彫られた木像を随行のものが持ち帰っておまつりし、秋の収穫時に野菜や穀物をお供えして感謝を捧げたことが始まりと伝わります。

1日の「神幸祭」で天神さまを本社より西ノ京の御旅所にお遷しし、2・3日目は御旅所にて献茶祭などを斎行。

4日の「還幸祭」で本社に戻られます。

野菜や乾物で飾られた「ずいき御輿」は、ずいき祭の期間中、御旅所に展覧され「還幸祭」で巡行します。

北野天満宮の御旅所が近いのと、町内の回覧版に「人形(ひとがた) 」が回ってくるぐらいなので、氏子区域なのだと思います。

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「人形(ひとがた)」は、北野天満宮の大祓人形神事のためのものです。

「人形(ひとがた)」に名前と年齢を書き、息を三度吹き付けて奉納し、知らず知らずの内に身につけた罪やけがれを祓い清めてもらいます。

町内の回覧版に入っている「人形(ひとがた)」は、各家庭で準備をしたら、町内会で集めて、町内会から北野天満宮さんへと奉納され、神事の際に祓い清めて頂きます。

八清に勤めると、八坂神社の「人形(ひとがた)」を町内会が持ってこられるので、八清の町内は八坂神社の氏子区域なのだと知りました。

私にとっては、すごく日常的な存在でしたが、他の社員からは、「なんですかこれ?」と聞かれ、知らないことに驚いたものです。

北野天満宮は毎月25日に「天神さんの日」と呼ばれる「天神市」があり、京都市民にとっては身近な縁日です。

東寺で毎月21日にある「弘法市」もよく知られています。

京都市民にとって、縁日といえば、北は「天神さんの日」、南は「弘法さんの日」 を指すことが多く、たくさんの人が出かけていきます。

天神市.jpg北野天満宮「天神市」

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東寺「弘法市」

八清に勤めて、祇園祭だけでなく、八坂神社の他の行事の存在を多く知りました。

八清への通勤途中に、八坂神社の末社であり、三条商店街の中に位置する又旅社(またたびしゃ) の前を通りますが、祇園祭の還幸祭 も就職後に知った目立つ行事の一つです。

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還幸祭で四条通を進む神輿

子どものためのお祭り、地蔵盆

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子供にとって、ずいき祭りが秋祭りで、地蔵盆が夏祭りです。

地蔵盆は、各町内によって異なりますが、基本は、各町内にある地蔵さんを清め、お供えをして、お寺さんにお経をあげてもらい、その前で、子供たちのための催しが行われます。

私の町内では、お地蔵さんがいませんでしたので、お地蔵さんの姿見だよと言われて、仏画が飾られます。

子供の頃は、町内に子供が多かったので、盛大に行われていましたが、子供が減った今は、お地蔵さんにお経をあげるだけの、質素な行事です。

地蔵盆の時期は、路地や道路にテントを張るので、通れなくなる場所もあります。テントには、子供の名前が書かれた提灯を飾ったりします。

京都のバス事情

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電車の路線が少ない京都市内で主に利用されている交通手段、市バス。

様々な経路のバスが走っているので、京都市民は自分が必要としている行先のバスしか知りません。

観光客から聞かれても、京都駅行以外は答えられない人が多いと思いますよ。

バスの運転手さんでさえ、ここに行きたいと行き先を言われても、運転している経路じゃな
いと判らない場合が多いようなので、観光客の皆様、お気を付け下さいなぁ。

 

八清は祇園祭で鉾や山が建つエリアに近いため、 その影響を受けて、7月頃は通勤が不便です。

普段、私は自転車通勤ですが、交通規制がかかる鉾や山のあるエリアを避けようとすると遠回りになってしまいますし、最寄りのバス停も遠くなります。

観光客にとってもともとわかりにくい京都のバスが、祇園祭期間中は遠回りするので、ルート変更を知っていないとさらにわかりにくくなってしまいます。

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八清事務所から120mほど南に建つ「保昌山」

 

通勤・通学は、定期券を購入するのが一番便利なのですが、通勤・通学に市バスを利用しない市民は、観光客もよく利用する市バスの一日乗車券(600円)を使っています。

最近値上がりしてしまいましたが、最低3回乗る予定があれば、一日乗車券を利用した方がお得です。1目の乗車時に運転手から購入できます。

例えば、目的地に直接行くバスの本数が少ない時は、大通りを走る本数の多い循環バスに乗って、大通りの交差点で乗り換える方法で、行き2回、帰り1回と利用すれば、お得です。

バス停の名前が、観光名所以外は通り名をさしていることが多いので、目的地を通り名で判断して、利用しています。  

バスを使いこなせれば、京都市内のどこに住んでも、住みやすいと思いますが、京都人は一度住んだエリアが好きなので、住んでいるエリアからあまり動くことをしません。

私の住んでいる場所は、祖父母の家があった場所に近いので、父が独立して一度は実家から離れても、実家の近くに戻ってきたそうです。

私には父ほどのエリアへの愛はありませんが、とっても便利なエリアに住んでいるのは実感しているので、なかなか離れられそうにありません。

これから京都市内に引っ越しする方もお気に入りのエリアに出会えるといいですね。