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岡山県倉敷市にある倉敷美観地区を訪れ、歴史的建造物や町並み、地域の文化や産業について学ぶ貴重な機会を得ました。

歴史を感じるまち並み

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江戸時代から続く町並みが良好に保存されており、全国で126地区ある「重要伝統的建造物群保存地区(伝建地区)」の中でも、倉敷は特に高い評価を受けている場所です。

町を歩いてまず目を引いたのが、白と黒のコントラストが印象的な「なまこ壁」です。

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京都では目にすることのないこの壁は、漆喰と瓦を使った防火性に優れた構造で、主に「蔵」や商家に使われています。

厚みのある目地がなまこのように見えることからその名が付いたと言われており、見た目にも美しく、倉敷らしい風景を形成しています。

建物の外観で特に印象的だったのは、「倉敷格子」と呼ばれる縦格子のデザインです。

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これは「町家」や「商家」に多く見られ、通風や採光を確保しつつ、外からの視線を遮るという実用性も備えています。

外観に統一感と落ち着きを与えており、町全体が調和のとれた景観となっている要因の一つです。

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京都では見かけない格子ですが、ここ倉敷での格子はこのタイプがよく目につきました。

「倉敷窓」は、引き戸式の木製窓で、こちらも通風・採光に配慮された構造になっており、町並みに柔らかな印象を与えていました。

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これらの建築的特徴から、倉敷が自然と共存し、生活の知恵を取り入れた町であることを改めて感じました。

歴史的な建物の多くは、かつての蔵や商家を改装したもので、現在ではカフェやショップ、ギャラリーなどとして活用されています。

これにより、歴史を保存しながらも、現代的な価値を加えて地域の魅力を高めています。

実際に訪れた施設の中にも、蔵を改装した美術品の展示スペースや、和雑貨を扱う店舗などがあり、建物と文化が見事に融合していました。

創造力をかき立てる町

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倉敷の文化を象徴する施設として、「大原美術館」は欠かせません。

1930年に地元の実業家・大原孫三郎によって創設されたこの美術館は、薬師寺主計が設計した日本で初めて西洋美術を本格的に紹介した私立美術館です。

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館内にはモネ、ゴーギャン、エル・グレコなどの名画が並び、世界の芸術に触れられる貴重な機会となりました。

また、民芸運動に関わった柳宗悦やバーナード・リーチといった人物との関係も知ることができ、芸術と人とのつながりの大切さを改めて感じました。

町の玄関口である「倉敷駅前観光案内所」にも立ち寄りました。

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この建物は、大正時代に銀行として建てられたもので、現在は倉敷を訪れる観光客を迎える重要な拠点となっています。

重厚な石造りの外観やアーチ型の窓が特徴で、駅前にありながら美観地区の風景に自然と溶け込んでいました。

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このように、歴史的建物の用途を変えて活用し続ける倉敷の姿勢には、持続可能なまちづくりのヒントが詰まっていると感じました。

今回の研修では、見学に加えて、実際にものづくり体験も行いました。

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倉敷は「マスキングテープの聖地」としても知られており、そのルーツは地元企業であるカモ井加工紙株式会社が開発したデザイン性の高いマスキングテープにあります。

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体験では、このマスキングテープを使って缶バッジとうちわ作りに挑戦しました。

カラフルなテープを自由に貼り合わせて、オリジナルのバッジを完成させる作業はとても楽しく、手を動かしながら倉敷の産業文化に触れることができました。

今回の滞在では「クラボウ(倉敷紡績)」の跡地を活用した「倉敷アイビースクエア」を訪れました。

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ここは明治時代の紡績工場跡を再利用した複合文化施設で、赤レンガの建物にツタが美しく絡まり、まるでヨーロッパの歴史ある街角にいるような感覚を覚えました。

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敷地内にはホテル以外にもレストラン、登録有形文化財にも指定されている倉敷記念館などが整備されており、産業遺産を観光資源として再活用している好例です。

近代産業と文化、歴史が融合した空間は、倉敷の過去と未来をつなぐ場所として非常に魅力的でした。

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今回の倉敷美観地区での研修を通して、歴史や文化をただ守るだけでなく、それらを活かしながら未来へつなげる倉敷のまちづくりの姿勢に深い感銘を受けました。

伝統的な町並みと現代のクリエイティブな感性が共存し、訪れる人を惹きつける魅力にあふれた倉敷は、今後の地域活性化やまちづくりを考えるうえで、非常に多くの学びを与えてくれる町でした。

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