ビル活用や建物の魅力を深堀りし、みなさんをおもしろビルの世界へ誘う記事企画「ビルまにあ」。
第二弾は「御幸町ビル」。
4つの飲食店とオフィス、ギャラリーが集まった複合施設です。
まち歩きのように回遊するビル
もともとゲストハウスとして活用されていた御幸町ビル。
コロナ禍の影響で営業継続が難しくなり、"回遊できる複合施設"としてリニューアルしたそうです。
企画・開発は、このビルの4Fに入居している有限会社DAY。
企画、デザイン、設計、運営の領域を横断しながら「新しい場所」や「新しい価値」を生み出すことに取り組むニューディベロッパーです。
「徒歩圏内で完結する」をコンセプトに"まち歩きのようにビル内で回遊できる"ように企画されたのが、現在の御幸町ビル。
エリアを跨いで施設を分散させるのではなく、徒歩圏内に集めることで、遊びに行く場所を探している人にとって便利で選ばれやすい選択肢になる――そんな狙いがあるそうです。
(旅行者にとっても観光しやすく、嬉しいですよね)
さらに、拠点同士の距離が近いことで社員同士のコミュニケーションが活発になり、一体感が生まれていく。
その積み重ねが、場所全体の相乗効果に繋がっていくのだとか。
御幸町ビルは飲食店が複数入居していますが、業態が被りすぎず、かといって離れすぎることもないようプロデュースされています。
その理由は、ハシゴしやすくするため。例えば内装については、店舗ごとに雰囲気を変えすぎると客層が大きくズレてしまい、人によって居心地の良い店と悪い店のギャップが生まれてしまうのだとか。
逆に、全店舗を似た内装にしてしまうと、単調になってハシゴする楽しさが薄れてしまいます。
それらのバランスを大切にデザインすることで、誰もがハシゴしやすく、居心地よく過ごせる空間になっているのだそうです。
また、メニューの価格帯も極端にバラつかないよう設定されています。さらに、全店舗にスタンディングスペースを設けることで、「ふらっと立ち寄って一杯飲み、気軽に次の店へ移動する」という導線がつくられているのです。
ハシゴ酒の終盤には、5Fのアイスクリームバー「UFO」へ。
コチラは、なんと〆アイスのお店!
飲み会の後、アイスを求めてついコンビニに寄ってしまう...という経験、ありませんか?
ここなら、お酒や珈琲を楽しみながら、さっぱりとアイスで締めくくることができるんです!
人が集まるカウンター
もうひとつ全店舗で共通しているのが、人が集まりたくなるようなアールのカウンター。
飲食店という枠にとどまらず、"コミュニケーションが集う場所作り"のために設計されています。
そのため飲食だけでなく、会話を楽しみたいお客さんも多く訪れるのだとか。
働く方々も、そんなお客さん達とのコミュニケーションを楽しみつつ、「また来たい!」と思ってもらえるような関係性づくりを大切にしているのだそうです。
軽くもたれかかって、自然と会話したくなる、柔らかいアール。
2Fの居酒屋「dooop」では、昔ながらの酒場の活気を生み出すため、コの字のアールカウンターを採用。
店員さんとお客さんの会話が生まれるだけでなく、お客さん同士のコミュニケーションも活発になるのだとか!
5Fのアイスクリームバー「UFO」には、カジュアルなアールカウンターが。
気軽に何度も訪れたくなる、生活の隙間を満たすようなお店がコンセプトで、おしゃれな友人宅をイメージしデザインされています。
店員さんとも、リラックスしてお話しできそうな雰囲気です。
回遊性をもっと高めるために
もちろん全てが想定通りとはいかず、店舗ごとに"顔なじみ"のお客さんはいるものの、その輪が他階へと広がる動きはまだ小さく、もっと大きな流れにしていきたい...という段階の頃もあったそうです。
そこで、キッカケづくりとして、複数テナントを巡りながら楽しめるビル全体のイベントを開催したのだとか!
イベント内容は、共通チケットを購入することで、各店舗にてイベントオリジナルメニューと交換できる...というもの。
反響は大きく、普段は5Fへ行きづらいと思っていた2F店舗の常連さんが、イベントをキッカケに訪問すると、友人の行きつけだったことが発覚し、自身も常連になる...というケースもあったのだとか。
また、イベント期間中に3Fのギャラリーにて物販を行なったところ「このスペースで展示がしてみたい」と多数の問い合わせが届くなど、予想外の反響もあったそうです。
3F HAN galleryの様子。
駅から近く、繁華街に佇むその立地と雰囲気に惹かれる方が多いのだとか。
作風を問わず、発想のままに活用できそうなシンプルな空間です。
コミュニケーションが集う場所
親しい友人とハシゴしながら、語り尽くすのも良し。
ひとりでハシゴして、店舗ごとの新しい出会いを楽しむのも良し。
こうして、ビルの中で自由に飲み歩ける仕組みこそが、御幸町ビルの個性的なところなんです。
ビル全体で生まれる体験と、コミュニケーションへのアプローチがたくさん詰まった御幸町ビル。
現在、リニューアル準備中のテナントやスペースもあり、次はどんな仕掛けでコミュニケーションが膨らんでいくんでしょうか。
御幸町ビルのこれからが楽しみです!
最後に、ミラー仕様が特徴的な、1Fエントランスのサインをご紹介。
鏡に映った自分たちの姿を写真に撮り、SNSでシェアする方も多いのだとか。
来訪の際は、こちらのユニークなサインもお見逃しなく!
コメント