Vol.6 現場見学会 & 講演会 イベントレポート 2019年1月19日開催

『住んで分かった、伝統構法の家の住みごこち』

京つむ木の工事も完成に向けてラストスパートを駆け抜けています!
最後まで真心込めて仕上げていきたいと思います。完成までもうしばらくお待ち下さいm(. .)m

本格的な京都の冬の寒さが身にしみる頃に、工事中の現場で講演会を開催しました。
伝統構法で建てられた家に実際に住まわれている方から、ご本人の体験談をお伺いしました。
長年住んだからこそ感じることのできる、伝統構法の真の魅力を中心に、皆様と共有する事が出来き充実した講演会となりました。

当日ご都合が合わず、参加出来なかった方々の為に、講演内容をレポートさせていただきます。

少し長いですが、ぜひ最後まで読んでみてください。
また、講演の動画も同時に公開しております。

講演レポート

「今日は寒い中お越しいただいて、ありがとうございます。」
「えぇ~80-100年前はこんな家(伝統構法の家)ばかりやったと思います。
最近はこういう建物が減っていって、どちらかというと手に入りにくいものになってきています。
(現在の建築基準を満たす伝統構法の家を、建てる事が難しい)
京つむ木では、縁があって梓工務店さんと一緒に建てさせてもらっています。
実際に伝統構法で建てられた家に住まれたことがない方からすると、『本当に大丈夫なのか?』
『寒いんちゃうか?』など、色々な疑問があると思います。
今日は、梓工務店さんで建てられた家に住まれているMさんとWさんに、お越しいただきました。
伝統構法の家に住もうと思ったきっかけや、住みごこちを中心に伺っていこうと思います。
本日は、よろしくおねがいします。」

定年後の暮らしを考える。

「今日は、よろしくおねがいします。
私は、もともと洛西に住んでいました。現在は、左京区の大原に住んでいます。
昭和24年生まれで、団塊の世代です。暮らしは家内と2人暮らしです。
(退職するを迎える頃)『老後をどうあるべきか?』『どういう生き方をしようか?』と夫婦で考えていました。」
「現在は、2人とも小規模ですけれども、有機農業、無農薬の農業をやっています。家内も無農薬でバラを育てています。 家は、ちょっとロフトはありますけれども、平屋建てで、まきストーブもあります。 木を軽トラで運んでいます。ほかしてあったら(捨てていたら)もらえませんか?と言ってもらったりすることもあります。そういう生活をしています。 今お座りの皆さんの、これは杉ですかね?」
 
「杉の木で、ちょっと厚めで、約3センチある無垢の板を使わせてもらっています。(京つむ木の床)」
「大原は寒いです。12月末に25センチ雪が積もりましたが、床は杉板で、まきストーブも設置しているので、ぬくもりがだいぶ違います。 杉は、保温力があり、声もたぶん優しい音が聞こえます。楽しんだ暮らしをいろいろ味あわせてもらっています。(笑)」
実際に住んでみて良かった事、もしくは悪かった事、 ちょっと違うなと思った事など、何でもいいんですが、そこら辺をお話していただけたらと思います。」

寿命100年時代、やっぱり生きている間は健康に

「もともとは、ツーバイフォーの戸建てに暮らしていました。
コストが安くて、それなりに便利な生活だったんですが、 子供が出て行った後に、昔ながらの家がええなぁ~と漠然(ばくぜん)と考えはじめました。
そやけどやっぱり、モデルハウスみたいな、ちょっと高級なんがええかと思った時期もありました。
全部ボタンを押したら快適になっていて、床下暖房だし快適そうだなぁ~と思っていました。
色々見ようと思って、展示場を回っていたら、家内が目がチカチカするとか、喉がイガイガすると言うてまして、これはもうちょっとやめとこかとなりました。」
「実際に住んでみて、大原ですが、やっぱり冬は寒いです。
確かに寒いんですけれども、それでもまぁ、快適にさせてもらっています。
ツーバイフォーに住んでいた時は、同じCDをかけても、音が何か変な感じがするんです。
やっぱり本当の木造で建てると柔らかい音が聞こえる気がいたします。
夫婦2人きりですが、しゃべっていてもなんとなく落ち着ける感じがいたしました。」

「今は(寿命が)100年時代になってきたので、やっぱり生きている間は健康に暮らしたいなと思いました。 今は、家の中でも楽しく健康に暮らすことが出来ています。
玄関の上がり框(かまち)の上がり下がりがちょっと面倒やなと思ったけれども、上がったり下りたりするのも運動になりますしね。 家もやっぱり寿命みたいに短くない方が良い。
前の家のローンは、25年でしたが、25年したらだいぶ傷みが激しかったです。
うちの家もそうですが、こういうお家(伝統構法)は、100年は持つと言われました。
もちろんメンテナンスは必要ですけど、基本的には100年、200年ぐらいは持つと言われています。
その辺は非常に良かったなと思っています。時々、喧嘩をしますが、夫婦共に和やかに暮らしています。」

エアコンの無い暮らし

「良い暮らしですね^^」
「まず、エアコンがないんです!!うち。
「今も!?」
「今もないです。去年の夏は、さすがに暑くて><;どうしようかと思いました…。
最初1部屋に1台ぐらいの扇風機が、だんだん毎年1個ずつ増えていったんですが、去年はさすがに1人1台になりました。 でも1人1台の扇風機で乗り越えました。
うちは丘の住宅地の一番上なので、冬が周りと比べてとくに寒いです。 下のお家とうちの家と比べると、雪の積もる量が10センチぐらい違うんです。でも冬寒いのは、周りが寒いのはしゃあない、雪が多いのもしゃあないと思っています。」
「うちは、天井がある部屋がちょっとしかなくて、ほぼ吹き抜けでぶち抜かれて。 」
「もう屋根裏、天井ですね。」
「2階は、梁とかが通っているのが見えている状態です。 あとは、仕切りがあるんですけれども、常に開け放っていて全部つながっています。 階段も透けた階段が良かったので、そうしてもらいました。まぁとにかく空気が全部1つなんですよ。 なので暖房はどうしようかなと思って、石油ファンヒーターが1台だけなんですが、それで全館、温度が同じになります。 おばあちゃんのうちに行った時に、暖かくなった部屋から廊下に出たら、ひやって寒くなる、あれがないから、うちはいいよね。って家族で言っています。
あとは~、土壁に住んでいてすごく思うのが、壁から冷気が来ないんですよ。
(日中に)部屋をファンヒーターで暖めていると、それを切って寝て、朝起きても、そこまで(温度が)下がらないです。 床とかも触って冷たくないし、やっぱり人が常にいて暖かくしていると、保温してくれるんだなというのは実感しています。 何日か留守にして帰ってくると、やっぱりすごく寒いんです。室温3度?ぐらいになります。 普段暮らしていると10度以下にはなりません。 本当に寒気が来てめちゃ冷え込んだときぐらいしか下がらないので、今年は暖冬のおかげもあって、なんか寒くないねという感じで暮らしています。寒さについてはそんな感じです。」

土壁の調湿効果に驚き!?

「湿度ですね。梅雨のときなんかは洗濯物は部屋干ししています。
前の家では、壁紙のところに結露ができたり、カビ…。と言う経験がありました。
土壁は、洗濯物を置いて石油ファンストーブで熱風で置いておいたら、乾きます。カビができるんやないかと思いましたが、全然できませんでした。 土壁というのはすごいなというのは実感いたしました。 」

木があれば良し!木の変化が愛しい。

「木の良さは本当に思います。私も引っ越してお金を貯めたら、ボーズのスピーカーを買おうと思っていたのですが、 木の板の上にCDラジカセを置いて聞いたら、めちゃいい音が聞こえるんで、あんまり要らんかと思ってしまって、まだ買っていないです。 スマートフォンで音楽を聞くときも、ちょっと傾けて反射させるようにすると、めっちゃいい音がするんですよ。 木があれば良しみたいなところがあります。」
「住み始めて、何年でしたっけ?」
「11年経ちました。私は古いお寺の廊下が大好きで、人がいっぱい歩いてピカピカで、硬いところだけ残って、木目ガタガタしている所が大好きで、 うちもあんな風にと思っていましたが、あの状態になるまでには、100年ぐらいかかるみたいです…。
うちの家は200年は持つからと梓さんに言われて、200年間は生きられへんやん、良くなったところを見られへんやんと思っていました。 でも、10年経過して、乾燥してきて、柔らかいところが縮んでいて硬いところが残るんで、触ると真っ直ぐじゃなくてぼこっとしてくるんですよ。 節のところが残っていくし、硬さの違いで木が変化していくのがだんだん分かってきました。 素足であるく事で、全然ワックスとかをしていなくても大丈夫です!子どもが増えていったのもあるんですけれども。(笑)」

気になる伝統構法の家の手入れ方法は!?

「ただの水拭きです。夏なんかは、全部水拭きして、きれいになったところにゴロンと寝て、吹き抜けのてっぺんを見るのがすごい好きなんです。 あぁ~、いい家やなと自分で思いながら。(笑)」
「亜麻仁油とエゴマですね。それを1回だけやりましたが、あとは何も塗っていません。」
「お掃除が、柱と床の木の部分は拭くんですが、土壁は何もできないんで、ほこりを掃除機で吸ってみたりするんですけれども。 あと、込栓がめちゃくちゃ硬いんですよね。」(*込栓の説明は、Vol.2へ)
「子どもの描いた絵とかを貼りたいなと思うじゃないですか。土壁は何もできないんです。 なので柱のあんまり目立たないところに、画びょうで差したりするんです。あんまり穴を開けたくないなとか思って。 壁掛け時計を掛けたいなと思って込み栓のところで、ちょうどいいなと思って込栓に釘を打とうと思ったら、 めちゃ硬くて、あかんわとなって。込栓の刺さっているちょっと上のところに打ちました、結局。」
「込栓は、樫の木など硬い木材を使用することが多いので。」
「あれも(込栓)梓さんに聞いたら、真っ直ぐの棒を突っ込んだのかと思ったら微妙にカーブになっているらしいんです。 だから一回入れたら抜けないらしいんです。真っ直ぐやったら木が乾燥したら抜けますよね。木の釘ですから。」
「実は、合わせる時に、ちょっとだけ、ずらしています。 だから、カシっと入ったら抜けないんですよ。そういう工夫も、やっぱりやっていく中で考えてやっているんで。」

木が吸ったり吐いたりしてくれるから、結露知らず。

「床下も、石場建てなので、開けています。(特にシロアリとかで柱がだめにならないように。)
日本は湿度が、梅雨があるんので、床下の湿気が多いですよね? やっぱり床下は乾燥したほうがいいと思います。 以前に、奥飛騨温泉へ行ったんですが、古民家の家がありましたが、ベタ基礎でした…。
結構ええ家やと思っていたのですが、下のところを見たら、なんか結構カビてる感じがしました。 」
「分かります!見るところが違いますよね?われわれ(伝統構法の家に住んでいる人)が見るところ。(笑)」
「最初、灯油のストーブを使用していたら、全部暖かい空気が上に行ってしまうんですよ。
だから、ファンヒーターに換えたんです。 そうするとファンヒーターは結構くるくる回ってくれるので、暖かくなって下に下りてきて全体が同じ温度になる。 色々な場所に置いてみて、どこが一番効率が良いだろうと模索して、今の場所に落ち着いているんです。
空気の動きというか、そういう目に見えないものをすごい意識するようになりました。
やっぱり夏は窓を、どことどこを開けたらどんぐらい涼しくなるかというのがだいぶ分かってきました。 ここを開けてここを開けておいたら、すっと通るから良いなぁ~等、季節の風の通り方までだんだんわかるようなりました。 言いだしたらきりがないけれども、そういう細かい工夫だとか、全部のおかげで今快適に、10年間何のトラブルもなく暮らしているんやなと思います。 同じ住宅地の中で、他の家の人は冬になったら結露がひどいと聞きます。うちは結露せえへんな~なんて思っています。(笑)」
「結露はないですよね。」
「鍋をやっても、二重サッシの下のところが、ちょっとだけべちゃっとするぐらい。
それもすぐ乾いてしまいます。 木が吸ったり吐いたりしてくれるので、立て付けが季節で変わるというのは、面白いですね。 急に開きにくくなったりとか、急に動くようになったりとか、そういうのが。
あ、伸び縮みしてんねんなと実感できます。 最初5年ぐらいはなかったんですが、10年近くなってからかな。 1箇所だけ柱と床の間に隙間が見えるようになってきたところがあって、 季節によってそこが、隙間が消えたり、隙間が出ているみたいな感じで変わるんですよ。私は本当に湿気が大嫌いなので、いい家やなと実感しています。

自分の家が居場所として良いなぁ~と実感する瞬間

「うちの風呂は、システムバスではなくて上にヒバの木を貼ってもらいました。ヒバの木は水に強いらしいんです。 だから旅館よりええなと気に入っています。孫が来たら喜んでいます。お風呂でわざと木の壁に水を掛けるんです。 家の構造は、孫が来たら見て楽しんでいます。日常のそういう、自分の家が居場所として良いなぁ~と実感する瞬間ですね。
伝統構法の家の住み方というのはいろいろあるでしょうけれども、 僕らは夫婦2人ですが、庭先でちょっとしたブルーベリーを植えて、無農薬のブルーベリーでジャムを作ったりとか、 イチジクもいっぱいできたんで、イチジクもジャムにしたらどうかと思ってジャムにしたりしています。 小さな庭があればそういうこともできますので、生活にそういう楽しみが増えます。
「いいですよね。京都という感じですよね。坪庭は。」

家族が安心できる家。

「京つむ木にも、ちょっと坪庭を作らせていただきました。」
「Mさん、さっき展示場に行かはった時に、奥さんが目がちかちかしたと…」
「あれは20年ぐらい前やから、また規制されてきたんかもしらんけれども、 入ってしばらく1階を見て、2階へ上がってみたら、家内が目がちかちかするとか喉がえがらいと言うさかいね。 モデル住宅を2~3軒回ったら、そんな感じでした。何か分かりませんけれども。」
「シックハウス症候群みたいな?」
「あれは塗料の匂いなんか、接着剤の匂いなんかなぁ?今となっては、分かりませんけれども。」
「私はホルムアルデヒドです。当時、土地を探しているのに、家を案内されるんですよ。 入ると、数分で喉が痛くなってきちゃうんです。いくら低ホルムアルデヒド住宅ですと言っていても、 私にはもう、喉が…。ここでは暮らせないと思いました…。」
「すぐ分かりますよね。」
「そういう感じなので、あんまり新築の家とかには入りたくないと思います。」
「柱も接着剤で固めてあるんかなぁ~?」
「集成材とかには、接着剤が使用されています。」

住みながら自分好みに、そして次の世代へ

「ずっとマンション住まいの友達がたまに遊びに来てくれると、『空気がきれい』ってすごい褒めてくれて、それくらいやっぱり違うらしくて、 ここに住みたいとよく言ってくれます。 」
「モデルハウスは、ボタンを押したら床下換気も全部電気で乾燥される。 だから電気代が安くて済みますと言うけれども、考えたら床下に空気を送り込んでやる装置とか、結構20年後はどうなるのか?20年後また直さんとねと思うと、ちょっと大変かなと思って。」
「そうですよね。うちの実家は、住んで25年目にしてすごいリフォームをしていましたけど、 たかだか20、25年で、そんなにしょっちゅう家を直していたら、お金が幾らあっても足りんやんとか思って。 伝統構法の家の場合は建てたら、じゃあ、あとはこのままでみたいな感じ。あとは住んでいる人が住みながら好きにしていきなさいみたいなところがありがたいです。」
「それが違いますね。気密の部屋・気密の建物を、やっぱり選択せんで良かったと思います。 この年ですが、もうちょっと若い時に気が付いていれば良かったなぁ~という後悔はありましたね。 僕らも洛西に住んでいた時は、子育て世帯が多かったんですが、やっぱりアトピーの人もいました。 それだけが、原因かどうかは分かりませんけれども、なんかイライラしている感じがしました。やっぱり家というのは大事だと思います。」
「伝統構法の家は、ちょっと高いと思われますが、例えば人生が100年あると考えると、どっちが安いんかとか、コストを考えてみても、25年ぐらいで大規模修繕をやるのがいいのか? 果たしてどういう住み方をしたらいいか?今はちょっと考えていただいた方が良いと思います。 僕も一時は、ツーバイフォーとか、モダンなでかっこいい家に憧れていましたが、どちらがコストが安いか?伝統構法の家は、次の世代に渡していけますので。 100年やったら、2世代・3世代暮らせます。前のツーバイフォーのモダンな家やったら、たぶん孫の代は無理でしょう。持たないよね。それはどっちが安いか?」
「ぜひこういう建物(伝統構法の家)の真の良さを知っていただきたいなと思って、今日はお二人にお話をしていただきました。今日はありがとうございました。」
 
(拍手)

講演動画(約45分)

真ん中の再生ボタン▶をクリックすると動画を見ることができます。

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