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吉田山の見える家

2010.04.15 補強前検査②ずれているのはどっち?

構造がすっかり見えるようになった現場で早速持ちあがったのは、

「土台(※1)と基礎(※2)がずれている」という大問題。

※1 土台=柱の下にあって、柱から伝えられる荷重を基礎へ伝える役割を果たす横材
※2 基礎=建築物の重量を支え、安定させるために設ける建物の最下部の構造。 この建物ではコンクリートの基礎が敷かれている。

間取図-基礎に問題の有る部分

間取から見ると、既存のDKの両端に基礎があるのですが、そのどちらもが基礎の幅の半分程度東の方へ、土台がずれて建っているのです。
(右図の「基礎①」「基礎②」)

そして、南側の基礎の上に載っている土台も南側へずれて建っています。(右図の「基礎③」)

土台がずれているということは、柱もずれているということ。このずれた土台の上の建物は基礎に半分しか載っておらず、他の部分で建物が支えられている状態、ということになります。

さらに細かく見て行くと、基礎からアンカーボルトが出ているのが見えます。アンカーボルトは、基礎と土台をつなぐ大切な役割のある金具。


本来は土台に連結され隠れているので、建っている建物から見えるものではありません。

このままでは、地震などで強い力が加わると、基礎と土台が別々に動いて、建物が倒壊につながる危険もあります。

打合せに集まったハチセ工務陣の話によると、

「昔は今のようなプレカット(工場などで材料を切って、現場で組み立てる)ではなく、建てながら現場で材を切っていた。

途中で間違っていると、やり直しが効かず、寸法間違いのままになってしまう。この建物は、そうやって建てられた可能性もある。 」

さらに言えば、
「基礎屋さんと大工さんはそれぞれ別の職人さん。それぞれが違った寸法でこの建物を作ってしまっていたのかも。

間違っていたのがどちらかはわからないが。」とのこと。

どうやって建てられていたのかは推測でしかありませんが、これから長く住んでもらう家にするため、この危険は取り除いておかなければなりません。

基礎①の改善案として出たのは「増し打ち」。

右の図は、基礎と土台の断面図。


①本来は基礎の上に土台が載り、アンカーボルトが基礎と土台をつないでいます。
②しかし、この建物では基礎と土台がずれており、アンカーボルトも連結されていないという状態。
③そこで、既存の基礎に沿って、新しい基礎を「増し打ち=厚みを増してコンクリート打設を行う」し、土台と基礎がちゃんと連結する状態に改善するという方法です。

南側の基礎③については「ケミカルアンカー※」で基礎と土台をつなぐよう施工する、という方法を取ることに。

※ケミカルアンカー=基礎に穴を空けて、後付けで施工できるアンカーボルト

基礎と土台は東側に向かってだんだんと離れてきています。西側の方は基礎と土台がちゃんと重なっている箇所もあるため、

その箇所について、「ケミカルアンカー」を使用して基礎と土台を連結するよう施工することに。

これ以上基礎と土台が離れることのないようにする方法です。