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今回は経営企画部の森が出張研修を報告します!

一人旅大好き、お酒と美味しいごはんが大好き、社内では(実は)数少ない生まれも育ちも京都、そんな私ですが、東北地方にはこれまで訪れたことがなく、ぜひこの機会に行きたい!行かねば!と思い、即決。

どこに行こうかな...と本屋やSNSで調査していると、私の「好き」「興味津々」が詰まっていると感じた場所が岩手でした。

目的地は、レトロな雰囲気の残る盛岡、公民連携のまちづくりで注目を集めている紫波町のオガール紫波、そして岩手から京都へ戻る途中に国指定重要文化財でもある東京駅の東京ステーションホテルに宿泊することにしました。

私のテーマは3つ。

①盛岡のレトロ建築巡り

②公民連携まちづくり施設見学

③築100年の名建築ホテル宿泊体験

このテーマに沿って、一緒に旅をしている気分で読んでいただければ嬉しいです。



京都から岩手までの道のりは、まず東海道新幹線で京都駅から東京駅まで約2時間10分。

東京駅から盛岡駅までも約2時間10分。

乗り換え時間も含めると約4時間半の長旅です。

この日は天気がとても良く、東海道新幹線から綺麗な富士山を見る事ができました。

この旅は絶対素敵なものになると確信した私です。(笑)

読者の皆様におすそ分けさせてください。

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東京駅に到着し、かなり混雑している東北新幹線のホームへ向かいます。

初めての東北ということで、もちろん東北新幹線も初めてです。

見慣れない駅名や、地元京都からすると遥か北の「新函館北斗駅」行の表示は旅情をかきたてます。

子どもの頃に戻ったかのように車窓をじーっと眺めていると、あっという間に盛岡駅に到着しました!

さて、ここから私の自由研究がスタートです。

少々長いですが、どうぞお付き合いください。

①盛岡のレトロ建築巡り

まず、私が訪れた場所は、盛岡市内に流れる中津川のほとりに位置する一際目立つ赤レンガの建物。

岩手銀行赤レンガ館です。

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この建物は外観から東京駅や京都文化博物館に似てると思われる方が多いのでは。

そうなんです。

東北地方唯一の辰野金吾氏の建築です。

東京駅などを手掛けた辰野金吾氏と盛岡出身の建築家 葛西萬司氏で設計されたルネッサンス様式の建築物。

1911年に竣工され、1994年に国の重要指定文化財に登録されました。

2012年までは岩手銀行中ノ橋支店として通常営業されていましたが、その後保存修理工事を経て、岩手銀行赤レンガ館として生まれ変わりました。

中に入ると当時の雰囲気がそのまま残っているので、今にも当時の音が聞こえてきそうです。

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ロビーにはクリスマスツリーが飾られていました。

赤レンガが特徴ですが、1936年に岩手殖産銀行が買受した際に、外壁は白塗りされ、「白い明治館」とも呼ばれていたそう。

天井の装飾がとても細やかな造りになっており、息をのむ美しさに圧倒されます。

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多目的ホールには、この赤レンガ館の変遷がわかる写真が飾られています。

2階では、バーチャル映像が上映されており、それを見てから館内を見学するのがおすすめです。

到着した時はかなり寒い日でしたが、天気が良く、青空とこの赤レンガのコントラストが非常に綺麗でした。

この赤レンガ館正面の道路を渡ると、次は白が基調のレンガ造りの建物が見えてきます。

岩手銀行赤レンガ館

Webサイト



次の目的地は「もりおか啄木・賢治青春館」です。

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実はここも以前は銀行だった建物。

かつては、第九十銀行として営業されていました。

盛岡出身の横濱勉氏設計のもと、1910年に竣工。

その後、2002年に「もりおか啄木・賢治青春館」として生まれ変わりました。

2004年にはこちらも国の重要文化財に指定されています。

現在は、宮沢賢治と石川啄木の生い立ちや盛岡での青春時代を紹介する施設となっており、有名な「注文の多い料理店」の初版なども見ることができます。

併設されている喫茶店「喫茶 あこがれ」にも立ち寄り、「青春館ブレンドあこがれ」という名前のコーヒーを頂きました。

石川啄木の詩集「あこがれ」から付けられた名前です。

冷えた身体に温かい美味しいコーヒーは最高の癒しでした!

※石川啄木の「啄」は正しくは牙付き

もりおか啄木・賢治青春館

Webサイト



さて、続いて向かう場所は鉈屋町界隈にある「もりおか町家物語館」という場所です。

この鉈屋町ですが、江戸時代から明治時代にかけて、北上川の舟運の起点の玄関口として栄えていたまちです。

現在は盛岡町家のまち並みや風情といった歴史的資源を保存活用するまちづくりが行われています。

そのためこの界隈は当時の風情が今もなお残っており、タイムスリップしたような気持ちにさせてくれます。

「もりおか町家物語館」へ向かう途中もどこか懐かしい雰囲気が漂うこのまち並みを歩いていきます。

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まずは総合案内所として使用されている母屋へ。

この施設は母屋、文庫蔵、浜藤の酒蔵、大正蔵の4つの建物があります。

中に入ると立派な吹き抜けと大きな神棚が見えてきます。

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盛岡町家の特徴は、主人が商談をする場として使用される常居(じょい)と呼ばれる中の間に大きな吹き抜けと神棚。

このように2階が無い理由は、主人を足蹴にしない・出世を妨げないという意味が込められているそう。

この母屋は元々資産家が住んでいたとされる建物で、以前は別の場所に建てられていたものを現在の場所に移築してきたとのこと。

さすが、造りが豪華です!

続いて、母屋の向かいにある「浜藤の酒蔵」へ。

改装した酒蔵をステージとして、生まれ変わらせ、この空間でライブやセミナーなどが開催されています。

約80名収容可能で、広い空間です。

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こちらはスタッフの方にお声掛けすれば、見学が可能となっております。

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このホールを出ると、下屋と呼ばれる蔵と蔵の間にある軒下のスペースがあり、そこにはかつての舟運に関する展示物があります。

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そして、大正蔵。

こちらはレトロな商店街を模したお土産屋さんとカフェスペースになっています。

私はこちらで岩手県内でしか手に入らない地酒を購入。

瓶には、盛岡の石割桜や岩手山の絵が描かれていて、これはもう永久保存版です!

飲むのが楽しみです...!

もりおか町家物語館

Webサイト



少し休憩した後、今回ご案内いただいたスタッフの千葉様に「大慈清水御休み処」という盛岡町家を紹介していただきました!

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大慈清水御休み処

こちらはNPO法人盛岡まち並み塾の活動拠点として、町家カフェやイベントスペース、案内所として利用されています。

この町家も大きな神棚と高い吹き抜けのある盛岡町家の魅力があふれています。

この建物は元々職住兼用の町家だったそうです。

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こちらの町家ですが、高校生直木賞受賞作の小説「雲を紡ぐ」出てくるモデルの建物です。

「雲を紡ぐ」はこの鉈屋町をメインに盛岡を舞台に描かれており、この小説をテーマに盛岡の魅力を発信しようという「雲を紡ぐプロジェクト」が開催されています。

住民の方々によるこの鉈屋町の魅力を発信されているパネル展示も楽しむことができました。

まちへの親しみや愛情がひしひしと伝わってくる文章に心がとてもほっこりしました。

自分が住むまちや家について、地域の人たちだけでなく、観光客にもアピールできる場所があるって素敵ですよね。

毎日当たり前に住んでいるとなかなか良さやありがたみを忘れてしまうものです。

そんな素敵な取り組みを歴史と趣のある町家で感じられる空間でした。

京都に戻ってから「雲を紡ぐ」の文庫本を手にし、盛岡のまちを思い出しながら現在読み進めています!

突然の訪問にも関わらず、楽しくお話させていただき、大変勉強になりました!

ありがとうございました。

NPO法人盛岡まち並み塾

Webサイト

雲を紡ぐプロジェクト

Webサイト

②公民連携まちづくり施設の見学

さて、続いて私が訪れたところは岩手県紫波町。

補助金に頼らない公民連携手法を用いて整備されたオガール地区です。

循環型まちづくりの事例として、注目を集めています。

「オガール」とは、紫波の方言で「おがる」という言葉の意味が「成長」、フランス語で「ガール(Gare)」という意味が「駅」。

この2つの言葉を合わせて「オガール」と名付けられました。

このオガール地区を出発点として、持続的に成長していくという意味が込められています。

ここには、宿泊施設・図書館・保育園・病院・飲食店・町役場・体育館が集約されていて、日常生活のあらゆることがここで完結できるようになっています。

今回はその中でも魅力的な施設に着目してご紹介します。

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オガール

帰宅ラッシュ時の19時頃、盛岡駅から満員の東北本線に揺られながら、20分ほどで紫波中央駅に到着。

驚いたことに乗客のほとんど(特に高校生)が紫波中央駅で下車しました。

若い世代が多いのかな...?というのがこのまちの第一印象です。

煌びやかな駅前イルミネーションの輝く紫波中央駅前を見ながら、徒歩約2分。

オガールへ到着です。

その日は施設内にある「オガールイン」という宿泊施設で宿泊することにしました。

同じ建物にコンビニが入っているので、便利です。

こちらのホテルはなんといっても、朝食は紫波産の食材をいただけることが魅力です。

朝食はヨーグルトで済ませてしまう人間なのですが、この日はもうこんなに朝から食べてしまっても大丈夫だろうか...と思いながら、現地の食材を楽しみました。

そんな贅沢な朝を過ごし、今回はオガールの施設にある紫波マルシェ、紫波町図書館、情報交流館に訪問させていただきました!

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紫波マルシェ

8カ所の産地直売所がある紫波町。

産直のまち 紫波とも言われています。

「紫波マルシェ」は紫波の中心にあり、各地区の多種多様な産品がここに集まるので品揃えが豊富です。

まさに地産地消を体現した施設です。

従来の産地直売所といえば、野菜やお米がメイン。

料理が苦手な人や忙しい子育て世代にとっては、野菜やお米だけでは、なかなか料理の完成には至りません。

そこで、考えられたのは、メインディッシュでもあるお肉やお米、調味料、そして朝だけでなく、朝から夕方まで品切れが無く、お買い物ができるスーパーのようなマルシェ型の産地直売所です。

6次産業化加工品コーナーが大変充実しており、生産者の販売支援も行われているのがとても魅力的です。

安価でおいしい野菜やお米だけでなく、日常に必要な食材がひとつの場所で完結できると暮らしはかなり便利に、豊かになります。

新鮮なブロッコリーが100円!という値札に思わず、「買いたい...」と思ってしまった私です。

近所に住んでいたら間違いなく購入していました。

今回はリンゴジュースとごぼう茶を購入しました。(とても美味しかったです!)

マルシェで食材を購入して、向かいの広場でBBQすることも可能!なんて贅沢な...!最高ですよね。

続いて、紫波町図書館へ。

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天井が高くて開放的な空間が魅力的です。

館内のひとつひとつにこだわりがあり、非常に居心地の良い図書館でした。

魅力的なポイントがちりばめられていたので、ぜひ紹介させてください。

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まず、こちらは児童コーナー。

子どもが本を読んだり、遊んだりしている時、お母さんお父さんも自分の趣味の本を読みたいですよね。

このスペースには、雑誌や子育ての本なども置かれていて、お子さんと親御さんも同じスペースで楽しむことができます。

すぐ隣には授乳室もあるので、安心です。

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こちらは就活コーナー。

就活に必要な本が揃っている上、セミナーや就労相談会の情報が掲示されています。

就活している人にとっては、一か所にこのような情報が集約されていると便利ですよね。

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もう少し奥へ進んでいくと、プレゼント包装された本がたくさん並んでいます。

プレゼント用ではなく、帯だけで本を選ぶという面白い仕組みです。

タイトルは分からないけれど帯で読んでみたい本を探すのは何だか新しい発見ができそうです...!

他にも農産物や害虫対策といった特定分野の本やデータベースも検索できるコーナーがあり、農業が盛んであるまちらしさを感じられます。

レシピコーナーで今日の料理は何にしよう?とレシピ本を読み、献立を決めたらその後にマルシェでお買い物して帰るという使い方も...!

自然と図書館に行くきっかけが出来るというのも、この図書館の魅力です。

図書館と同じ館内に紫波町の情報交流館も併設されています。

ここはイベントやセミナーはもちろん、なんと防音設備完備の音楽スタジオやアトリエまであるのです!

学生が図書館で楽譜を借りて、この音楽スタジオで練習するということもあるそうです。

ドラムが置いてあるのも魅力的!

まちの施設でここまで完備されていることに驚きの連続でした。

勉強ができる自習室もあるので、学生さんは時間を持て余すことなく、過ごすことができそうです!

短い滞在ではありましたが、ここオガールの施設で紫波マルシェ、図書館、情報交流館のスタッフの皆様にご案内頂き、何よりも温かく接してくださり、有意義な時間を過ごすことができました。

駆け足での滞在でしたので、まだまだ時間がほしい...もう少しここにいたい...という気持ちが残っています。

それくらい居心地の良い環境で、アットホームな場所でした。

必ずまたここに訪れたいと思っております。



この日は昼から雪が降り、盛岡行きの電車を待っているうちにあっという間に積もりました。

電車を逃してしまい、55分間待合室にて待機するというハプニング(笑)もありましたが、雪の降り積もる風景をぼーっと眺める時間は今も愛おしいです。

雪が降り続く中、盛岡駅へ戻り、少し暖を取ってから東京行きのはやぶさに乗車。

盛岡駅のホームに流れる小田和正さんの「ダイジョウブ」の発車メロディーがこの滞在期間で出会った方々やまちの風景を思い出させてくれて、離れるのが寂しい気持ちになりました。

とても寒かったのに、心はほかほかです!

盛岡、紫波でお世話になったすべての皆様、心から本当にありがとうございました。

オガール

Webサイト

オガールイン

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③築100年の名建築ホテル宿泊体験

新幹線に乗車し、車窓は雪景色からあっという間に高層ビルの夜景に変わり、帰宅ラッシュで混雑している東京駅に到着。

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この旅の最終地点、「東京ステーションホテル」へ向かいます。

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岩手銀行赤レンガ館と同じく辰野金吾氏の建築再びです!

2007年から約5年間の保存・復原工事を経て、2012年再開業した東京ステーションホテル。

数々の有名小説にも登場する憧れのホテルです!

ぜひこの機会に宿泊してみたいと思い、今回宿泊することに決めました。

丸の内中央口を出て、南口側へ歩くと東京ステーションホテルの入り口が見えてきます。

(南口へたどり着かず、中央口から出てしまいました。広い...人が多い...)

チェックインをすると、なんと部屋が丸の内北口のあのドーム部分の下。

端から端まで335mあるとお聞きし、私の頭の中では東京タワーを横に倒したイメージが写し出されました。

ほぼ東京タワーと同じ長さということにスケールの大きさを感じます!

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数分歩いてたどり着いたお部屋は、天井が高く、広々としていて、丸の内の夜景を堪能することができます。

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廊下には昔の東京駅の写真や今はもう引退した特急車両のモノクロ写真などが飾られています。

それがまた歴史と趣を感じ、素敵な空間となっています。

ひとつひとつ見ていたら、1時間ほどあっという間に過ぎるのではないでしょうか。

東京駅舎の歴史を辿ったパネルもあり、歴史を知ることができてとても楽しいです!

改札口が見えるお部屋もあるので、そちらもずっと眺めていると楽しそうです。

チェックアウトが12時と遅めの時間なので、ゆったりと過ごすことができました。

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最終日は満月がとても綺麗な日で、煌びやかな光に包まれる東京駅舎と月のコラボレーションを見ることができました!

東京ステーションホテル

Webサイト

最後に

建物や施設をメインに見学をすることが目的でしたが、実際行ってみると、そこで出会った方々の優しさでその建物や施設が一層素敵なものに感じられました。

まちづくりは人ありきだということを改めて実感した旅となりました。

旅する気分になっていただけましたでしょうか?

お付き合いいただき、ありがとうございました!

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八清社員が日本各地へ興味が赴くままでかけ、見て、聞いて、普段の業務では得られない知見を広めてきましたのでレポートします。

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