カネルプロジェクト
ストーリー1

優しい光に包まれた住まい

カネルプロジェクトの家があるのは、幅4mほどの道の両側に
古い町家が軒を連ねる 西陣らしい町並みのなか。
プロジェクト担当 浜田が昨年企画した、"エシカルハウス"のすぐ近くです。

子供どもたちが元気に遊ぶ保育園の園庭の横を抜けて
小さな町角を入ると、50mほど先にカネルハウスが見えてきます。

梅雨でお天気が崩れた6月初旬の定例打ち合わせ。
建物は外観工事がほぼ終わり、工事用シートが取り外されていました。

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1階の格子、2階の窓、白い壁のバランスが絶妙な、町家らしさを感じさせる佇まい。

外観

天然素材である漆喰の深みのある白色と、塗装屋さんがこの家の古い材に
合わせて慎重に調合した "古色(こしょく)"のコントラストが、
キリッと引き締まった中に どことなく優しい表情を与えています 。

パッと見ただけではわからない所に職人さんの熟練の技が光る、
それも町家の魅力の1つ。

室内写真

外回りでさらに楽しみなのは、今から取り付けられる予定の玄関扉。
和の風情漂う外観に、天然木を使ったスリットガラス入りの
モダンな扉が備わる予定です。

スリットから入る細い光と、町家の格子が生み出す陰影の
コラボレーションが楽しみです。

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前回足を運んだ時は、まだコートを着ていた3月下旬。
建物は壁や床の下地となる構造が組まれたところで、
隣へ生活音が漏れないように配慮した壁の「防音シート」が見え、
室内写真
リビングには吹き抜けの天井や壁、梁の補修など高所で作業をするための
大掛かりな足場が設置されていましたが、

2ヶ月半経った6月初旬、室内は塗装が終わり、すっかり様変わりしていました。

室内写真

室内では、リビングに取り付ける棚の制作が進んでいました。
サイズの微調整を繰り返しながら丁寧に棚板が作られていきます。

手で直接触れる棚板は、表面を滑らかに整えるヤスリ掛けの作業が欠かせず、
部屋には視界がかすむほどの粉塵が舞っていました。

打ち合わせメンバーは目をこすり、クシャミをこらえながらの打ち合わせ。
真っ白になった部屋のなか、マスク姿で1日中黙々と作業する職人さんを見ていると
たった一枚の棚板にも、たくさんの人の心が込められていることを実感します。

室内写真

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高さ5mにもなるリビングの大きな吹き抜けは、
西陣地域の京町家だけに見られる独特の形です。

当時この大空間には背丈の高い織機が置かれ、
地元の職人たちによって紡ぎ、染められた艶やかな糸から、
美しく繊細な織物がたくさん生み出されました。

立面図

この吹き抜けが、本来は分断されているはずの1Fと2Fの繋がりを作り、
家族の気配を常にどこかで感じるあたたかな住まいに。
この家に暮らせば、今よりもっと家族の距離感が縮まりそうです。

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大空間の頭上には直径30cmは軽く超えそうな 大きく立派な梁が横切ります。

建坪(投影面積)21坪もあるこの家を もう何十年も支えてきた太い梁は
シンプルな空間で存在感を放ち、その堂々たる佇まいは圧巻の一言。

長い年月を経たものに囲まれた空間はとても居心地がよく、
家族が自然とここに集い、思い思いの時間を過ごす、
そんなリビングになるはずです。
室内写真

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天井には大きな天窓が3個所設けられていて、
わずかにクリーム色を帯びた柔らかな白い壁に反射し、
部屋に穏やかな明るさを与えています。

室内写真

建物の中は明るすぎず暗すぎない心地よさ。

先ほど紹介したスリット入り玄関扉のほか、光がこぼれ落ちるストリップ階段、
すのこ床など、部分的に取り込まれた光が壁や天井に反射して
家の中をほのかな明るさで満たしていく、、、
そんな、心がホッと休まる住まいになりました。