暮らし企画部リーダーの安田です。

京都市伏見区生まれの41歳。

八清では新卒よりお世話になっており、今年で19年になります。

仕事の内容は物件の仕入と販売を行なっております。

今回は19年間携わっている京都の不動産事情についてお話しをいたします。

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近年の京都市内の地価動向 地価350万円/坪!

京都市内の現在の地価は一昨年より上昇を続けており、最近になって少し落ち着いてきたような感じはありますが、ある特定の場所や総額が低い物件については未だに高値で売買がされています。

四条烏丸の八清の事務所付近では、最近の一般相場がおおよそ350万円/坪~400万円/坪です。

近年の地価の上昇状況については次のグラフをご覧ください。

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※(京都、滋賀の不動産情報を収集した不動産業者向けのマーケティングサイト「Reon不動産検索ネットワーク」内、会員専用ページより引用。)

 

中古住宅単価は前年比11.3%、土地単価については15.4%の上昇となっております。

反面、新築住宅の坪単価は前年比1.6%の下落となっております。

ちなみに私が八清に入社したのは平成10年3月ですが、当時は100万円/坪前後というところでした。

グラフと実際の販売状況からみると、中古住宅及び土地単価が上昇している要因としては、

  • 中古住宅単価の上昇 → 近年の町家ブームと購入層の変化
  • 土地単価の上昇 → ホテル需要の増加

といったところがあげられるのではないでしょうか。

中古住宅単価上昇の要因について
~近年の町家ブームと購入の「3つ」の変化~

  1. 新築 → 中古リノベーション
  2. 居住 → 投資
  3. 日本人 → 外国人

 

1つ目、新築→中古リノベーション、購入対象の変化です。

八清が町家に対して取り組みを始めたのがおおよそ15年前です。

当時、中古改修はすでに販売の主力として行なっておりましたが(リ・ストック住宅)、その町家バージョン(リ・ストック京町家)を取り扱い始めました。

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(左)リ・ストック住宅(平成19年売却)
(右)リ・ストック京町家(平成19年売却)

そして、自分の好きなテイストでリノベーションをすることもブームになり後押しになったと思います。

同時に、インターネットの力により少しずつ、関東圈の方が移住及びセカンドハウスとして購入されることが増えてきました。

 

2つ目、居住→投資、購入目的の変化です。

当時はどこまでいっても居住用途がメインというターゲットでしたが、少しずつ地価が上昇するにつれ、居住の方だけでは販売の幅が広がらない為、投資向けの商品を考えるようになりました。

こうして取り組み出したのが、町家を活用した、宿泊施設「京宿家」、戸建賃貸「京貸家」、シェアハウス「京だんらん」といったブランドです。

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(左)京宿家 巽城あかね庵(平成20年売却)
(中)京だんらん東福寺(シェアハウス/平成24年売却)
(右)下京区の京貸家(平成20年売却)

 

平成20年あたりからこういった投資用の物件が増えてきましたが、まだまだ町家や中古物件を購入される方はごくごく一部の関東圏中心の顧客だったと記憶しています。

2013年9月に決定!東京オリンピックが追い風に

その後さらに大きな変化がみられるようになったのは2020年東京オリンピック開催が決定してからです。

そこで3つ目、日本人→外国人、購入層の変化です。

外国人が購入されるケースはよくありましたが、それまではパートナーのどちらかが日本人であったり、すでに日本在住歴があるなど、日本語を理解されている方でした。

しかしながら、東京オリンピック開催決定後、日本語を解さないが、日本に不動産を求める外国人というケースが非常に増えてきました。

ある外国人の方が物件を購入された時に、「日本の家屋が好きで、世界的にみると京都の地価はまだまだ安い」とおっしゃっていたことが印象に残っています。

このような状況から、八清でも外国人対応のため、英語対応及びグローバルサイトを立ち上げています。 八清英語サイト

 

さらに町家の宿泊施設がブームとなり、町家=宿ビジネスが可能という方程式のもと、多少高くても投資目的として購入される方が非常に増えました。

ちなみに弊社購入者の6割程度は外国人及び他府県の方です。

土地単価上昇の要因について
ホテル需要の増加 ~ホテル業者という第三勢力の出現~

前述の東京オリンピック開催決定及び京都への観光ブームにより、日本人のみならず外国人の観光客もここ2、3年で急激に増えてきています。

私は現在弊社事務所の近辺に居住しておりますが、昼だけでなく、夜も外国人の方が歩いているのをよく見かけるようになりました。

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それにより、法人だけではなく一般投資家まで、京都市でホテルを建てる目的で土地を購入するケースが非常に増えてきております。

通常の住宅やマンション(賃貸含む)の場合は、物件を購入→販売により、利益がどれぐらい見込めるかを計算して仕入単価を決めます。

そこには土地の相場というものがあり、その価格を基準として検討します。

しかし、ホテルの場合は、宿泊料金と稼働率で収支が合うかどうかを判断する為、最近では入札でもホテル業者がとびぬけた金額で落札したり、購入するケースが非常に多くなっています。

例えば某大通りに面する土地が1400万円/坪で取引されたとか、京都駅北側でも820万円/坪でホテル業者が購入したとか、少し前では思いもしなかった価格での取引事例が多数出てきています。

その為、土地の平均坪単価は上昇していると考えられます。

今後どうなる?京都の不動産

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今後も京都市内の不動産価格は上昇しつづけるのでしょうか?

最近の購入層はほとんどが投資目的の方でその点に危うさを感じます。

投資目的で購入することが悪いとは言いませんが、その地域で生活をされるということではありませんので、もし京都が観光都市として成り立たなくなったら?東京オリンピックが終わったら?ということをたびたび感じます。

私はバブルの時、社会人ではありませんでしたので、当時の事はあまりよく分かっておりません。

しかし、現在も似たような状況になりつつあるのではないかと思っております。

冒頭にも書きましたが、私が入社した時の弊社事務所近辺の土地単価がおおよそ100万円/坪でしたので、当時と比較すると現在の価格は3~4倍に上昇していることがわかります。

最近では中心地が値上がりしすぎており、少しずつ周辺地域に需要が分散していっていますし、また、一定の購入層には不動産が行き届いたような感覚もあります。

そうすると市内の地価はある程度高止まり状況であり、大きく値上がりすることもなく、かといって大幅な下落も現時点では考えにくいと思います。(収支が成り立っていることが前提ですが・・・)

 

それでいいのでしょうか?

 

投資は京都に目を向けるきっかけとしては良いですが、空き家になる可能性を含んでいます。
だからこそ、京都に住んでもらういということを最終目的として、八清は取り組んでいかなければならないと私は思います。

 

投資→セカンドハウス→居住

 

このように、投資をきっかけに京都の暮らしにも興味をもってもらい、京都に移り住むことを後押しできるような魅力的な住まいを創りつづけていく、京都の魅力を、不動産を通じて発信し続けていくことが重要なのだと考えています。