
住宅ローンをわかりやすく!
借入可能額、返済比率や融資をうけやすい人の特徴などを解説。
住宅ローンとは、自宅として戸建て住宅やマンションを購入するときに利用できるローンです。原則として、契約者本人や親族が住む住宅取得資金として利用します。
この記事では、借入可能額、返済比率や購入予定物件の担保性などをわかりやすく解説します。マイホームの購入を検討している方や、少しでもお得に住宅ローンを利用したいと考えている方に役立つ情報となっているので、ぜひ参考にしてください。
住宅ローンの借入可能額とは
住宅ローンがいくらまで組めるか。
借入可能額は契約者の収入と密接に関わってきます。自己資金はもちろん、さまざまな項目を基に金融機関は融資額を決定していきます。
住宅ローンを取り扱っているどの金融機関も明確な借入金額の基準は公表していませんが、一般的には年収の5~7倍程度が目安と言われています。

住宅ローンが通らない?借りる前に自己診断!
【1】職業に関する事項
・勤続年数
勤続一年未満の方は金融機関から断られる公算が強いようです。
転職理由によっては融資が可能な金融機関があります。しかし、この場合は見込み年収での審査となり、歩合給やボーナスは見込み年収には含まれません。短期間で転職を繰り返している場合も不利になる可能性があります。
・雇用形態
正社員と比べて派遣社員や契約社員は働く期間が決まっています。
そのため金融機関の審査ポイントである「将来にわたる安定的な返済」を判断するために勤続年数が必要です。
非正規雇用の方でも住宅ローンの借り入れはできますが、正社員とは少し条件が変わってくるのが一般的です。
【2】お金との付き合い方
・融資の滞納、金融事故歴、消費者金融での融資経験
キャッシング・車のローンでの返済、携帯電話の本体分割購入代金の未納、公共料金・クレジットカードの返済、奨学金の返済滞納などを滞らせた経歴があると一定期間、事故情報として残ります。たとえ金額が少額であっても、支払いを遅延すると信用を失ってしまいます。この履歴や金融機関での借り入れ履歴は個人信用情報機関に登録され、本人も銀行も照会できます。
・貯金や浪費に関して
家の購入に向けて計画的に何年も貯蓄を続けてこられた方は、その金額の大小を問わず融資を受けやすい傾向にあります。 逆に、ギャンブル依存症や浪費癖、お金の管理ができない方は厳しい見方になります。
【3】消費者金融で融資を受けた経歴がある方
金融機関での借り入れはすべて個人信用情報に登録され、あらゆる金融機関が照会できます。消費者金融で借り入れを受けた時点で返済の有無に関わらず、個人信用情報に記載され、審査に影響することが多いです。
【4】外国籍で永住権がない方
外国人の方が住宅ローンを受ける前提としては、日本での永住権を取得されている必要があります。手続きには日本での住民票や印鑑証明書の提出も求められます。
【5】お金を支払う債務者が購入物件に住まない
住宅ローンは大前提として債務者が家を購入して住むために融資を受ける形でなければなりません。
【6】自営業の方で申告書類が三期分ない場合
自営業の方はサラリーマンと比べて相対的に厳しい評価を受けることが実情です。また、所得の証明として、ほとんどの金融機関で最低三期分の申請書が必要になります。
なお、サラリーマンの方は源泉徴収票が必要です。三期分あるのが理想です。
【7】健康に問題がある場合
住宅ローンを組む際には原則、団体信用生命保険(以下、団信)への加入が融資条件となっています。
団信は生命保険の一種なので健康状態を確認され、誰でも加入できるわけではありません。そのため、団信加入時に必ず現在の健康状態などの報告が必要になります。
健康状態によっては加入が断られるケースも多々あり、特に持病などがある場合には確認する必要があります。
偽りの告知をすると告知義務違反になりますので、虚偽の告知は絶対しないように注意しましょう。
【8】物件購入の動機
賃貸からの住み替え、京都への移住など、購入に至る動機も確認事項の一つです。
【9】その他
・登録住所表記
本人確認書や住民票の住所など、現住所の登録に変更されていますか?
引っ越しを繰り返されたり、住所の書き方が各々で違った場合、融資実行時に住所変更手続きが必要になります。住所の相違自体は大きな問題ではないものの、遅延なく変更されている方に対しては金融機関の印象も良いのが実情です。
- 借入数や借入金額が少ない
- 過去に支払いの滞納歴がない、金融事故歴がない
- 勤務先が公務員や大手企業の社員→勤務先が安定していると優遇されます
- 勤務先の業務が安定している
- 勤続年数が長い
- 給与が安定している
- 健康状態が良好である
- 夫婦で収入がある
- 現金が多い

返済比率について
返済比率…年収に占めるローン返済額
銀行や金融機関が住宅ローン審査を行う際の指標として返済比率が用いられます。
これは申込者の返済能力を超えた借入を防ぐためです。将来に渡って債務者が安定した収入があり返済能力を持ち合わせているかが大前提となります。
【1】自己資金・保有資産
・自己資産額
自己資金が無く、手付金も含む物件取得にかかる全ての資金を借入する場合は、融資ハードルが高くなります。保有資産を持っていても銀行から借り入れをおこしたい方もいますが、極力自己資金は高く設定されることをおすすめします。
・保有資産
現金、預貯金、外貨、投資信託・株式・国債・社債などの有価証券、不動産など返済が滞った場合はかわりになるものを持っているか?も指標となります。
完全な外資証券会社の金融商品の場合は、評価が難しくなるため算入できない場合があります。
【2】年齢
住宅ローンの場合、20歳以上70歳未満を申込可能とするケースが一般的です。団信への影響はもちろんですが、定年退職時の残債想定額によって制限がある場合もあります。
※完済年齢が80歳未満ですが、定年を迎える65歳までに完済するのが理想です。
【3】年収
・住宅ローンの返済額と他のローンの返済額が基準以内であるか。
他の債務も返済比率計算に算入するので他の借入状況も確認します。車ローン、教育ローン、カードローン、事業資金を借り入れるためのローンなど。
・所得証明書(源泉徴収票、確定申告書)
サラリーマンの方は源泉徴収票が必要です。安定した収入で三期分あるのが理想です。自営業の方はサラリーマンと比べて相対的に厳しい評価を受けることが実情です。また、所得の証明として、ほとんどの金融機関で最低三期分の確定申告書が必要になります。有名な画家、音楽家等でも申告がなければもちろん無力です。
・複数の収入源
夫婦ともに収入がある場合や、副業などで複数の収入源がある方も合算した所得として考えることができます。世帯年収で融資を受けられる場合はどちらかが連帯保証人となる必要があり、複数の収入源をお持ちの場合は年収総額把握のために確定申告書が必要です。

購入予定物件の担保性
住宅ローン審査では申込者の属性に加えて、物件の担保価値も重視されます。担保評価とは、万が一債務者が返済不能になった場合に、金融機関が抵当権を実行し物件を競売にかけて債務を回収する際の見込み額の事です。担保価値が低いと住宅ローンの借入ができない可能性もあり、審査に通ったとしても融資額が伸びない場合もあります。物件選びの重要性について解説します。
・再建築不可の物件
建築基準法上の接道義務を満たしておらず建て替えができない場合は、担保評価できないため通常融資を受けることができません。
但し、購入物件以外の担保物件をあてることで融資が可能になるケースがあります。
・建築基準法違反物件
建築当時の法令制限を無視して建てている場合は融資対象外となります。
構造的なものやあきらかな増築、建蔽率や容積率超過などの項目で法令制限を無視して建築されている場合、違反建築とされています。
建蔽率や容積率については、金融機関ごとに超過率の基準があり、違反率が大きい場合、融資が難しい物件となります。
・有効宅地面積の大きさ
一般的に40m²以下の敷地に建つ建物は、担保性が低いと考えられることがあり、融資が難しい場合があります。この面積は私道負担面積等を差し引いた、有効宅地面積である事に注意が必要です。
・築年数
木造戸建て住宅の耐用年数は22年と定められており、築年数の古い建物には担保性が低くなります。建物面積が新築時から年々下がり、固定資産税評価が低くなるのが要因です。
京都の地銀や信用金庫を中心とした町家を扱うローンでは、「再建築不可物件」「建築基準法違反物件」「有効宅地の大きさ」「築年月」に対して制限が緩和される場合があります。建築当時は違反していなくても、経年とともに建築の基準となる法令が変わってしまたため、結果的に建蔽率・容積率・高さが、現在の基準を超過している物件を既存不適格(きぞんふてきかく)物件と呼び、緩和対象となります。
公益財団法人京都市景観・まちづくりセンターの京町家カルテや京町家プロフィールで認定を受けた町家である事と、売買時に建物の更生登記(建物表題変更登記)を行うことが条件となり、融資が可能になる事があります。
・他人地上の物件や接道条件
旧水路等の官地(大蔵省や都道府県などの管理する公の土地)の上に建物の一部が存在する場合や、借地権が設定されている土地には注意が必要です。登記上では前面道路と敷地の間に官地や他人地が入り込んで接道していない敷地もあります。 現況が改善できるのであれば、融資が可能になるケースが多いです。
・他人所有の敷地に構造物がはみ出している存在
※はみ出し度合いが特に強い場合
京町家は大屋根のケラバを隣家同士で重ねあい雨仕舞をしているので最初から越境しているケースがあります。越境の取り扱いについては越境の度合いや各銀行により取り扱いが異なり難しい問題です。
上空の越境はともかく、家の基礎や構造部など他人敷地の上に存在するようなひどい越境の場合は注意が必要です。隣家と境界立会いの際に建替時には越境部分を撤去する旨の確認をしておくのがよいでしょう。

中古改装住宅への融資と銀行の考え方
今回は弊社の改装物件で利用しやすいと考えられている金融機関とその特徴をまとめました。記載の内容についてはあくまで一つの見解として、参考程度にお考えください。
弊社がこれらの情報に格付けしたりするものではありません。また、そのためにご利用いただく情報ではありません。
各銀行の評価、融資等についてはお客様の諸情報、物件の諸条件によって異なります。
何卒、ご理解くださいますようお願い申し上げます。
地方銀行/信用金庫
京都独自の伝統的な建築様式に対して比較的融通が効くのは地方銀行・信用金庫系の強みです。住宅ローン商品や金利の種類が銀行ごとに多くありませんが、その地域の企業や就労者の評価に近いのも魅力です。
都市銀行/信託銀行
35年固定をはじめとした長期固定金利の商品や、上限金利設定方式、金利のミックスやたすきがけ連帯債務(ダブルプラン)、インターネットによる繰上げ返済など、高度で合理的かつ多種多様なローン商品・返済方法があるのが魅力です。
債務者の評価もシステム化が進んでおり、審査のスピードも比較的早いです。ただし、連棟や屋根の越境など京都の古くからの建築様式に対する許容度は残念ながら低いのが実情です。

上級テクニック
銀行ローンが予定通りにいかない。。。でもお金をなんとかして借り入れたい方へ。そんな場合に有効な方法と、そのメリット・デメリットをまとめました。
援助を受ける
親御様の援助を利用し、購入不動産に持ち分をいれる。
この理屈は簡単で、親御様の援助分だけ登記上の持ち分を入れることです。例えば、2,000万円のうち本人が1,500万円負担し、残り500万円を親御様の援助を受けた場合、本人の持ち分が3分の4、親御様の持ち分が4分の1となります。
固定資産税、都市計画税もきちんと按分(あんぶん)してください。所有権の登記名義に親御様のお名前が入りますが、まずは住めればいいという方でしたら、この方法が早いです。
親御様より贈与を受ける
贈与税は累進課税方式ですが、税率の設定が相続税と比べてかなり高いので、普通に贈与を受けるとかなりの額を課税しないといけないことになります。これは以下の方法で贈与を受けることで、税負担を回避することができます。
基礎控除を受ける
毎年110万円までの贈与は税金がかかりませんので、親御様に支援して頂くことが可能です。前記に紹介した、持ち分を入れる方法と組み合わせることがおすすめです。
また、税務署対策として、110万円を超える贈与を受けた場合、確定申告をしておくことで税務署からの確認が入りにくくなります。
暦年課税、相続時精算課税制度を利用する
※適用条件は税理士にご確認いただきますようお願い致します。
共同担保を利用する
住宅ローンの審査の際に購入物件の担保評価不足で融資を受けられないと指摘された場合でしたら、親御様に共同担保をお願いしてみるのも一つです。
融資の担保に親御様所有の物件を組み込んで、抵当権を設定することができます。購入物件の老朽化などで銀行の担保評価が低いなど、担保力が弱い場合などに有効です。但し、万一融資の債務が滞った場合、共同担保物件も競売にかかる可能性があることは否定できません。
親御様からお金を借りる
銀行からの借入ができない、もしくは足りない場合は親御様に借りるという手があります。その際には以下のような手続きをきちんと踏んでください。
・金銭消貸借契約を結ぶ
お金をいくら、いつまで、どんな金利で借りるかということをきちんと書面にして残してください。金銭消費貸借契約の書類に書くべき内容は以下です。
【1】賃借する金額
【2】返済期間(元金と金利の返済一覧表が必要)
【3】返済方法
【4】利息
一般的にはさらに遅延損害金の利率の設定もありますが、親子間であれば敢えて不要だと考えることもできます。ただし、親族だからといって金利無しでは通りません。
経済通念上、妥当と思われる金利を形式上設定する必要があります。
毎月きちんと返済し、記録を残す
振込をして毎月返済しているという証拠が納税問題でトラブルにならないために必要です。通帳やインターネットで印刷したもので経過が確認できれば問題ありません。

親子ローンを利用する
二世帯住宅に住む方の場合で、まだ親御様が現役で働かれている、ご収入のあるようなケースは親子ローンが可能です。親御様が借りたローンを、将来子どもが引き継いで返済するタイプの住宅ローン(親子リレー方式)、または返済方法を親子で連帯債務として負う(親子ペア方式)パターンがあります。
一般的な住宅ローンの場合、申込時に55歳から60歳以下であり、完済時70歳から80歳といった年齢制限があるため、通常は50歳のときに35年ローンを組むことは実務的にはできません。
親子リレーローンによって、親御様が高齢になっても長期の返済期間でローンを組むことが可能になります。ご利用可能な銀行が限られていることと、親子どちらかの単独名義にされた場合は相続・贈与税の対象となりますので注意が必要です。

そのほか
そのほか、住宅を購入するために有効なローンを以下にまとめました。
購入物件の特徴やお客様の条件に合わせてご検討ください。
【1】京町家ローン(残そう京町家)
市中銀行の一般的なローンとほぼ同じ仕組みで、魅力的な金利で融資を提供しています。京町家専用ローンとなるため、物件が京町家であることの証明が必要です。
京町家の購入等に利用できるローンを取り扱っている金融機関:京都信用金庫・京都銀行・京都中央信用金庫・滋賀銀行。詳しくは、各金融機関にお問合せください。
【2】特殊物件を扱うローン(すみしんトラストローン&ファイナンス)
通常の住宅ローンと同じように、購入する不動産を担保として借り入れを行いますが、物件について再建築の是非は問いません。お客様自身のキャッシュフローに基づく実態調査を行い、それに応じて融資が行われます。一般的に流通性が低い案件を対象にするため、金利が高いです。
【3】ローン:公務員共済
公務員の方が退職金を担保に借り入れを行う形になります。物件そのものについて審査がないことがメリットです。
【4】ローン:リフォームローン
物件購入後、リフォームをする際に借り入れを行います。不動産を担保とせず、連帯保証人も不要な場合が多いですが、借入金の限度額も低めです。借入金は1,000万円を上限に設定している銀行が多く、無担保融資のために金利が高く設定されています。
【5】住宅ローン+つなぎ融資
住宅ローンが実行されるのは、一般的に住宅の引渡し時からです。そのため、改装住宅のように住宅の引渡し前に「改装工事着手金」「中間金」などの支払いが発生する場合には、住宅ローンとは別に資金を用意する必要があります。
そのようなケースにおいて、住宅の引渡し前に必要な資金を一時的に立て替えるためのローンがつなぎ融資です。つなぎ融資を借りる場合は、購入する物件情報の他にリフォーム図面と工務店の見積りが審査に必要です。
まとめ
住宅ローンは、自分が住む住宅の購入資金として借りられる金融商品です。申し込めば誰でも借りられるわけではなく、事前審査と本審査に通る必要があります。
住宅ローンについての基本知識や注意点を理解することで、審査に通るための対策ができます。ご自身の状況を整理しながら、必要な条件を満たしているか確認することが大切です。
経験豊富なスタッフが在籍しておりますので、物件以外の事や住宅ローンについてもご相談ください。