体験レポート~土塗り体験~

究極のスローライフ 京町家×ストローベイル

昔懐かしい京の町が一番残っているといわれている西陣にある京町家。この界隈は今も路地をはさんで黒ずんだ格子窓の町家が軒を連ね、耳を澄ませばバッタンバッタンと機織りの音が聞こえてきます。そしてこの住宅も例外ではなくお隣から、バッタンバッタンと規則的なリズムが・・・。京都ならではの風情を愉しむのにはもってこいですが、ここで毎日を生活するとなると、いささかやっかいな音でもあります。この音をどうやって緩和させようか?遮音シートを貼る?鋼板を貼る?ブロックを積む???などが検討された中、採用されたのが、この工法でした。

「ストローベイル」とは、その名の通り「麦わらの壁」。下のような絵をご覧になられたことはないでしょうか?これは、刈り取って寄せ集めた藁をベーラーという機械で圧縮して梱包されたものです。円柱状に成型されたものを特に「ロールベール」と言います。このベーラーという機械はいくつかの種類があり、今回採用された「ストローベイル」は、角型ベーラーを用いてつくられた「ストローブロック」を竹で組んだ枠に積み上げて作ります。

40cmの厚みを持つストローベイルは、防音効果の他、断熱材としての威力を十分に発揮してくれます。外気が40℃の時、室内温度は24℃、外気が5℃の時、室内は16℃というデータもあります。特にこの住宅では名古屋でストローベイルのために、なるべく農薬を使わないで作られた安全な藁を利用しました。 更に調湿性能が高いので住宅内を常に爽やかな空気で包んでくれます。そして、いつかずっと先の未来、この建物が壊された時も全て土にかえり自然に戻ってくれる、究極の自然派志向の住宅なのです。

ストローベイルに土を塗りこむため、その日そこに集まったのは、お施主さん、学生さんの他、ハチセの社員を合わせて総勢10名。ナイロン手袋の上から軍手をはめて、手でべちゃべちゃと塗りこんでいきます。 私たちがこの日お手伝いしたのは、下塗りの下塗り。この後ある程度乾いたら、もう一度この土が塗られ、最後はしっくいで仕上げられます。そこで住まう人が自ら愛情を込めてつくった壁、それはそれは思い入れの強い住宅として完成したと思います。提供する側の私たちにとっても、とても良い経験をさせて頂きました。ありがとうございました。

2008年11月29日(土)