建築デザインにおいて庭の計画を考えることがあります。
例えば公園を造ろうと考えた際に、そこにあるトイレ等の建築物は建築デザインの領域ではあるものの、どちらかというとランドスケープデザインが主導となり考えられることがあります。
"建物にある庭"なのか、"庭にある建物"なのか。
我々がよく扱う京町家には縁側があります。
縁側は"室内"と"室外"の中間領域となっており、室内外の境界を曖昧にさせる役割を果たしています。
日本古来の建築は、自然に勝つ建築ではなく自然と一体化させる建築であると言われます。
縁側は室内にいながらも、室外にいるかのような心地よさを感じさせます。
ハイジの世界のような何もない広く広大な原っぱでゴロっと寝転ぶと気持ち良さそうですよね。
ウッドデッキでティータイム、心が落ち着きそうですよね。
人間も動物です。
本能的に室外を心地良いと感じる性質があるのでしょうか?
"庭にある建物"、何故だか心が惹きつけられるものがあります。
今回、私は滋賀県米原市にあるグランピング施設、グランエレメントさんに行ってきました。
元々はゴルフ場があった一面の芝生に、大型テントやキャビン等全15棟配置されています。
この施設においては先に挙げた、"建物にある庭"なのか、"庭にある建物"なのかという議題においては、後者の"庭にある建物"であろうかと一目見て考えられるかと思います。
また実際に宿泊をしてみてもそう感じました。
グランピングというだけあってやはり"庭"が主体です。
建物は外部に対し大きくガラスで開口がとられており、室内からも自然環境を視覚的に感じることができました。
また、食事をするダイニングは外のデッキとなっており、外で過ごすという行為が標準化されておりました。
そして敷地に対しての建築物の面積割合が低いです。
これらなどを総括して考えると"活動主体が庭に向いている"、これが"庭にある建物"であることの条件なのではないのかなと考えました。
上に挙げた要件を満たしていたとしても必ずしも"庭にある建物"であるとは言えないと思います。
あくまで"活動主体が庭に向いている"ことが必要であると思います。
"活動主体が庭に向いている"ことを要件として建築を考えることができれば、通常の住宅敷地サイズでも"庭にある建物"を造ることができそうです。
今後物件のプロジェクトを考える上で大変参考になるものでありました。
人の心を惹きつけるコトとは。
昨今、建築費用が非常に高騰しております。
不動産価格もそれに伴い上昇傾向にあります。(原因はそれだけではないですが)
高くなった建築費用に合わせて、不動産価格を高くできるかといったら一概にそうではなく、ある程度限界値というものは存在します。
なによりお客様に負担を大きく強いる形となってしまいますので、あまり望ましいものではないと私は考えております。
実際に一般的な新築建売の市場は建物で差別化をしにくいこともあり、なかなか厳しい状況下にあるようです。
この状況下では、今まで以上に"人の心を惹きつけるコト"が求められているように感じています。
"人に心を惹きつけるコト"
それは美しい景色であったり建築物であったりのハード面のもの、体験等のソフト面のものがあります。
我々、不動産屋が物件を造る上で考えることは、基本的にハード面のものであることがほとんどです。
しかしながらこの昨今の状況を踏まえると、ハード面には収まらずソフト面への視野をより考える必要があるのではないかと考えております。
グランエレメントさんでは、施設内に様々な体験ができるようになっていました。
カヌーができたり、パターゴルフができたり、等々。
思い返すとまずこのような楽しそうな体験をすることをイメージして、それから建物や設備等のハード面に思考が移っていました。
人が不動産を購入したいという風に考える、最終的な目的とは"そこでの生活や体験"であり、もっと究極的な目的は"幸せになること"であるかと私は考えています。
"美しいデザイン"や"使い勝手"は本来目的ではなく、その過程にある条件という訳です。
"最終的な目的がまず頭に浮かぶコト"、それこそ"人に心を惹きつけるコト"であるのではないかと今回の体験をもって自分の中で結論付けました。
このキッチンから友人と楽しく食事をしている絵がイメージできる、子どもと楽しく家の中で遊んでいる、心が安らぐであろう空間でゆったりとしている。
ソフト面がまず頭に浮かび、心が惹かれていく。
これを実現するためには建築費用が通常よりかかるかといったら、一概にはそうではないと考えています。
空間構成や建物のギミック、コンセプトで"人に心を惹きつけるコト"を実現できる可能性を秘めていると思います。
こういった視点でも今後の物件作りにおいてとても参考になる体験でした。
先に挙げた"庭にある建物"は、"人に心を惹きつけるコト"に行きつく過程の中で、候補の一つとなる得る重要なキーワードでしょう。
今後オープンハウスや内覧でお越しになるお客様へ。
もしこの私の記事を覚えておられましたら、どんな体験を想像されたかお聞かせいただければ幸いです。
これから出てくる八清の物件をどうぞ楽しみにお待ちください。
以上、暮らし企画部、福井の研修レポートでした。
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