迷路のような入り組んだ路地に高くそびえ立つ厚みのある壁、小さな窓。
閉鎖的なイメージのあるイスラムの住宅ですが、一歩足を踏み入れると、中にはまるで別世界のような美しく快適な空間が広がっています。

西洋とは全く異なる住宅認識を持つイスラム圏の人々。
建物は各スペースを居間、食堂、寝室としてではなく、季節、あるいは時間に合わせ、家の中で最も快適な空間に移動して暮らす文化があり、その自然的な発想の豊かさは建築の分野でも昔から注目を集めてきました。

今回のnosta & zatta 「中庭の家」は、そんなイスラムの住宅観を取り入れた建物。中庭を囲むようにしてワンフロアの居室が設けられており、季節・時間帯により部屋を移動するスラムの家々のように、移りゆく自然とともに自由に工夫して暮らすことができます。

例えば中庭を囲むようにしてひとつながりに設計された２Ｆ部分。南側のソファ空間は夏は暑いですが冬は暖かく居心地のいいスペースとなり、冬に寒い北側も、夏は風の通る気持ちのいい空間となります。
小さな窓からはそれぞれの季節に合わせて心地いい風が通り、自然を取り入れた暮らしを叶えることがができます。

１Fと２Fを区別した間取り、中庭を中心に広がるデザインにより、プライバシーを保ちながら室内に快適にすることができる、豊かな発想と工夫に満ちた住まいです。

住宅のリノベーションにとどまらず、産業施設、協会、学校、集合住宅、シェアハウスなど幅広い建築を手掛け、町づくりなどの様々な活動に携わられている魚谷繁礼建築研究所、魚谷氏。建築物に関する京都のクリエイティブな活動の陰には必ず魚谷氏アリと言われるほど活動的で熱意溢れる人柄、圧倒的なセンスにハチセの社員、お客様の中にもファン多し。魚谷氏が手掛けた久しぶりのnosta & zttaです。ぜひご見学を。

上）星を敷き詰めたような六角形のタイルが美しい浴室。イスラムにも小さなガラスが嵌められた幻想的な浴室があるそう。
下）まるで水面を見上げているような、美しい青色が楽しめる天窓。黄色みがかった漆喰の色にもこだわりが。