ABOUT
プロジェクトについて

地下鉄烏丸線「五条駅」徒歩約2分、
ビジネスと文化が交差する「烏丸五条」にレンタルスペースを開設

八清では、京都の歴史の中で育まれてきた京町家の新しい活用方法として、「集う京町家」を企画しています。

和室の大広間や和洋折衷の広間、茶室を有する本施設では、会議や研修等のビジネス用途以外にも茶道教室やワークショップや勉強会などの様々な用途でご利用いただけます。

また京都にお越しの際に、ご家族やご友人たちと気軽に集まることのできる場として、京町家を体験していただくことも可能です。

普段利用されている空間とは異なる、利用される方々の感性を刺激する空間を提供いたします。
集われた皆さまに、新しい発想や活発な交流が生まれるきっかけとなることを祈って。

このページでは、開業までの様子を少しずつ綴っています。

STORY
開業までの物語

    • vol.1 質実剛健の町家2019/1/28更新

      初めて建物を訪れたのは2018年の10月上旬。解体に入る前の状態を写真に収めるため。何も置かれていない状態の室内は、がらんとして、これから新しく生まれ変わるのを静かに待っているようでした。

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    • この町家は昭和初期に建てられ、もともと呉服商の社屋として使われていました。

      展示会をするための大きな空間があり、人や物の出入りが多い玄関には建物を傷つけないよう、壁に板張りの工夫をするなど、社屋として機能的に使われていた様子がうかがえます。 特別な装飾のあまりない町家ですが、階段室を見ると柱梁には太く立派なものが使われ、質実剛健といった建物。

      明るい蛍光灯の照らす室内は、町家には一見味気なくも思えますが、この室内が商品を細部まで検品するために使われていたという建物の歴史を物語っています。

      天井高のある広く明るい室内は、大人数の集まる会議やパーティーにも使えそうな印象で、レンタルスペースとして使っていくというのに深く納得。

      担当・村田から聞いていたのは、ここを「集う」町家にしたいという思い。社屋としての役目をいったん終えた町家ですが、これからレンタルスペースとして生まれ変わり、再び人が集い、交流していく場になることで、この町家が生き生きとして蘇ることを思うと楽しみになるのでした。

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    • vol.2 線と町家2019/4/19更新

      2月下旬、改修が進む現場で、この町家の改修プランをお願いした設計士の先生と、工務店の方にお話を伺いました。その中でも印象に残った言葉を紹介します。

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    • ◇設計をされていく上で、どんなことをとっかかりに考えて行ったか?最初の建物の印象は?という問いに対して

      (川島設計士)「大きな町家やな、大柄やなーという印象。言ってしまえば、京都の奥ゆかしさとか町家らしさが消えてしまっている、普通やな、という印象。その中で、町家の原型みたいなものが取り戻せたら、というのはありました。伝統軸組工法は柱や梁の"線"で構成されている。その"線"で構成されているのが繊細で美しいと思うから、線で空間を設えていけたらな、というのがありました。天井やベンチ、階段の踊り場なんかを格子にしたりしています。

      ◇この建物の見どころは?という問いに対して

      (川島設計士)町家の中にある、大きな空間が見どころかな。この階段の上部は、一番上の屋根まで抜けています。光が入る天窓も大きく作っていて、そこから光が落ちてくる。上を見上げた時に、かなり迫力があると思いますよ。2階の広間も、天井裏をつなげて見せたり、大きな空間を感じてもらえたら、というのはありますかね。

      ◇滋賀から来てもらっている松野工務店さん、地元はどんなところですか?という問いに対して

      (松野さん)地元は滋賀の湖東三山の麓のあたりになるんですが、その辺り、お寺が多くてそれに携わっている工務店さんが多いんです。100軒くらいの村に、4~5軒大工さんが居るような。なので、仕事をしていくのは大変ですかね(笑)激戦区というか。

      ◇滋賀との仕事の違いはありますか?という問いに対して。

      (松野さん)京町家は気柄が上品やな、という印象ですね。滋賀の方だと、柱も梁ももっと太いものを使っている。京町家は全体的に細いからバランスが取れてるんですけどね。

      ◇建物を見て、ここが良くなりそうだな、というところはありますか?という問いに対して。

      (松野さん)全体的に良くなりそうだと思います。仕上がりが楽しみ。

      2月の下旬の現場は、大工さんが工事を進められながら、一部の塗装が始まっている段階でした。それでも大体の建物の形が見えてきて、ここはどんな部屋になるのか、想像して楽しみになりましたが、実際に出来上がった現場を見ると、想像以上の仕上がり。工務店さんの言葉を思い出して、確かに仰られていたようだなと思う担当でした。

      設計士:川島裕一建築設計事務所 WEB
      工務店:松野工務店

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BEFORE
改装前の建物

※写真をマウスオーバーまたはタップすると、説明が表示されます。

  • 人研ぎ仕上げの腰壁に鉄の丸棒の格子窓が付く、「昭和初期型」と呼ばれる外観。1階の通り庇だけでなく、大屋根にも一文字瓦が使用され、風格を感じさせます。
  • 1階の格子窓にはまるガラス窓。窓の上部にガラスの欄間も付き、採光を重視した作りになっています。
  • 水廻りの庇に残っていた碍子(ガイシ)と裸電球の照明。昭和レトロな懐かしい雰囲気の風景。
  • 台所から奥に続く廊下の壁。採光のためのガラスの欄間が嵌り、何かを吊るしていたフックが残されていました。
  • 社屋として使われていた頃の名残、セントラルヒーティングなどに使われていた機器。
  • 2階の室内。1階よりも明るく、天井高のある空間。広々とした畳敷きの座敷は、呉服の展示場として使われていた部屋。商品を検品するために、室内を蛍光灯が照らしていました。
  • 階段室を2階から見て。太い柱や梁が使われ、見ごたえがある空間。天窓から落ちる光が陰影を作り出しています。
  • 階段を上がったところの2階ホール。台所の上部に当たる部屋のため、もともと火袋の吹き抜けであった可能性もありそうな箇所。
  • 2階の和室に付く縁側。正面に見える空調のダクトは、社屋として使われていたころの名残。
  • この町家の中で唯一の床の間が2階の奥の部屋に残されていました。美しいバランスで仕上げられた違い棚が設えられています。

AFTER
完成後の建物

※写真をマウスオーバーまたはタップすると、説明が表示されます。

  • 外観にはほとんど手を加えず、もとの意匠を引き継ぎました。黒漆喰塗の仕上げでシックな印象に。
  • 1階の表の窓。光のたっぷり入る窓際には、格子をモチーフにしたベンチを設けています。
  • 玄関土間は、大谷石の石敷き。表通りからの光を受けて、素材の豊かな表情が現れます。
  • 約30帖ある1階の広間。ふち無しの畳で仕上げられており、町家の趣きと軽やかさがバランス良く調和する空間。
  • 広間の奥に設えられた中庭。社屋として使われていた頃に、庭はふさがれていましたが、もともとこの場所には庭がありました。室内にやわらかな自然光を届けています。
  • フローリング仕上げの2階の広間。小屋裏までが見える勾配天井、光る線の照明、ふすま絵のアートのある、独創的な空間に仕上がっています。
  • 天窓から光の落ちる階段室。2階から見上げると、大きな空間の中に柱や梁が交差する様子に、歴史を経た建物の美しさを感じます。
  • モルタルの床など、シンプルな素材遣いの1階のキッチン。十分な広さがあり、ケータリングなどにも対応可。
  • 2階茶室。2階広間と同じアーティストの方による襖絵が、静かに輝きます。
  • 2階広間の襖絵。”菊”をモチーフにした絵は、深い赤が何層にも重なり、近くで見るとまた違った印象を感じるもの。

※レンタルスペースとしての運営は終了いたしました。