北山の家（2014年）
賀茂川まで歩いて2分、北山の住宅街にあるリノベーション京町家。
春は延々と続く桜並木、夏は頭上に輝く新緑、秋は真っ赤に染まる紅葉、冬は雪化粧の山並みと、
色とりどりの季節が暮らしを豊かにしてくれます。
北山は教会や洋菓子店、ベーカリーなどの洗練されたショップが並ぶ、静かで上品な大人の町。
そんな町の雰囲気に合わせて、シンプルで上質なデザインに、暮らす人とともに時を刻む自然素材を使い、
毎日をゆったりと楽しむ住まいを作りました。
いわゆる「うなぎの寝床」とは違い、大きな敷地に余白をたっぷり残して建てられた贅沢な建物ですが、
長くお住まいになられていた方がお引越しになった後、しばらく空家の期間が続き、老朽化が進んでいたため、
今回のリノベーションで構造体に補強を行い、傷んでいた天井や床などは全て取り換えました。
リビングを囲むようにして作られた「縁側」と「家の中央を突き抜ける廊下」は 建築当初の名残を残したもので、
＜畳に座って縁側を眺めるこの家で最も格式の高いザシキ＞は＜リビング＞に、
＜廊下を挟んで作られた小さな玄関の間＞は押入れを取り込む形で空間を広げ、
そのまま＜和室＞として受け継いでいます。
2階の天井には古い歴史を物語る大きな梁、
縁側の犬走り（建物の外周部）には庭に残された古い川石を再利用しており、
当時の面影を偲ぶことができます。
