記憶に残る"あの味"を追い求める珈琲焙煎士

2018年2月 春の予感がする少し暖かい日

こんにちは、暦の上では春というのにまだ肌寒い日が続きますね。
本日は、下京区に位置する元花街・島原まで行ってまいりました。

島原大門をくぐり、風情ある石畳を歩いていると見えてきたのが「きんせ旅館」。
こちらは、築年数約250年とも言われる歴史ある建物で、もともと揚屋(遊廓)として建てられたものです。
大正後期~昭和初期にかけて洋風に改装された1階はCAFE&BAR、和の面影を残す2階は1組限定の宿となっています。

そんな歴史ある建物のロビーで、日々黙々と珈琲豆を焙煎するのが、今回のお目当て 「IWASHI COFFEE|いわしコーヒー」 の真下(ましも)さんです!!

「こんにちは~初めまして。メディアデザイン部の河野です。今日は、よろしくお願いします。(はじめまして。なので、少し緊張…。)」
「(緊張気味に)よろしくお願いします。」
「えっと、何から話しましょう~?」笑
「ひとまずいつもの場所(真下さんの仕事場=焙煎機の前)に座っていただきまして~」
「焙煎機、かっこいいですね~」
「この焙煎機は何て言うメーカーのものですか?」
「FUJI ROYAL(フジローヤル)という日本の有名なメーカーです。」
「朝は、何時ぐらいからここに来て焙煎を始められているんですか?」
「9時ぐらいに来ています。それから続けて14、15時ぐらいまで焙煎をして、そのあと配達などをしています。」
「いつも基本的には1人の作業かと思いますが、そこに孤独感とかあったりするんですか?」
「孤独感は、別にないです。」笑
「むしろ楽しいですね!1人でやっていても、向上心を持ちながらなので飽きないって言うのもあります。」
(最近、珈琲ミルをGETして、自宅で珈琲を嗜むようになったので、興味津々♪)
「焙煎している姿を見たことが無いので、イメージが湧かないのですが…どこに生豆を入れてどうするんですか?」
「じゃー実際にやってみましょうか!!ここに豆を入れて…(ザーッ!)」
「おぉ~!!!!」笑 (突然、焙煎のレクチャーが始まります。)

言葉ではお伝えしにくいので、ここで動画を御覧ください。真ん中にある再生ボタンを押してください。
  音が出ますので、注意してください。

「焙煎時間を測っているわけでは無いんですか?」
「(上手く焙煎できているかどうかは)匂いで判断します。匂いを嗅ぐ時は、煙をスーーッとお腹まで入れます。"匂いを飲む"感覚です。」
「焙煎が終わったら、その都度コーヒーを試し飲みするんですか?」
「次の日の朝に、前日に焙煎した珈琲を5杯ぐらい飲んでいますが、(焙煎した時に)大体匂いで分かるんですよ。次の日飲んでみて、やっぱそうか!ってなります。」
「IWASHIさんからよく珈琲豆を買っていますけど、こんな話普段聞いたこと無いので、とても新鮮です。」

そこで突然、落海が真下さんとの出会いを語りだしました。

「ここ(きんせ旅館)に来る前の円町にあった小さなお店って、何坪ぐらいでしたっけ?」
「3坪?確かそれぐらいですね。」
「焙煎はその2階でやっていました。」
「で、たしか…珈琲1杯250円というすごく良心的な値段で出していましたよね?」
「いや、最初は200円でしたね。その後は思い切って250円にしました!」笑
「ある日、西大路通りを車で北上していたら、なんか気になる珈琲屋さんがあるぞ!って。思わず車を停めてお店に入ったのが最初ですね。」
それはいつぐらいの出来事ですか?」
「2014年ぐらい?今から3、4年前の話ですね。」
「けど、そのぐらいの時期に円町のお店を閉店することになって、常連の皆さんをお招きして、閉店パーティを開催したんです。その時に落海さんも来てくださいましたよね!!」
「せっかくいいお店を見つけたと思ったら、すぐ閉店になっちゃって。」
「それから、しばらくは店を持たずに自宅で焙煎していました。その間もいい場所がないかずっと探してはいました。」
「ここ(きんせ旅館)のオーナーさんである安達さんに『いい場所無いかなぁ~』って話したんです。そしたら、『うちの店のスペースを、使っていいよ!』って言ってくれて。」
「それはご縁ですね~」
「そもそも安達さんとは、どういう繋がりだったのですか?」
「円町のお店にお客さんとして、珈琲を飲みに来てくれていました。」
「そうだったんですね!その繋がり、なんかいいですね。」
「安達さんに相談しようと思ったきっかけは何だったのですか?」
「う~ん。正確に言うと、Vonnというお店のマスターの石井さん(共通のお知り合い)が、安達さんと繋いでくれたんですよ。」
「なんか、やりたい事とか叶えたい事を、口に出すって大切ですね。この話を聞いて、つくづくそう思いました。」
「そうですね!(テナントを)探してたんですが、あんまりこれっていう場所がなくて、そんな時にVonnの石井さんがタイミングよく安達さんと繋げてくれたんですよね。」
「ここ(きんせ旅館)との出会いも人との繋がりが導いてくれたものだったんですね。」
「ところで、珈琲の焙煎をやる前は、確かサラリーマンをされていましたよね?」
「そうです。塾の先生をしていました。中学生に数学と社会を教えていました。」
「え――――っ!(意外なまなざしで)」
「塾の先生から焙煎士になろうと思ったきっかけはあるんですか?」
「自分で何かやりたいなぁ~とはずっと思っていました。」
「当時、職場は愛知県でした。(関西出身なので)友達も居ないので、何か趣味を見つけたかったんですよね。それで珈琲でもやってみようか!と思い、近所の珈琲屋さんに行ってました。」
「そこには、僕の年齢に近い人が居て、すごく熱心に珈琲を教えて下さって。」
「その時がおいくつぐらいだったんですか?」
「30ぐらいです。それまでは全然珈琲に興味無かったんです…。」
「そこからちょっとずつ珈琲がおいしいなぁ~と思うようになり、(同年代の人たちが)情熱持って色々やっている姿を見て、あぁ~なんか憧れるなぁ~って、それがかっこいいなぁ~って思いました。」
「教えてくれたっていうのは、そこの珈琲屋さんの焙煎をしていた方がですか?」
「そうですね。そこから自分で手網焙煎とかやり始めました。ある日、ものすごくおいしいのができたんですよ!!!!(目キラキラ)」
「もうこれは今まで飲んだ中で最高の味だったんですよ!今でもそうです!(強い口調でワクワク語る真下さん)」
「(ドキッとする私たち)おぉ~」
「これならイケるっていうのと、皆さんにも飲んでもらいたいなぁ~っていうのがありました。」
「それからプロとしてやろうと思いました。("あの味"は)今でも機械では再現できないですけどね。 近いところまではいきますけど、あの時の"あの味"は出せないです。だからいつか出したいなぁ~って想いがあるんですよ、"あの味"を!」
心の声「これはまさに、男のロマンだなぁ~」
「なるほど~。もうそこに完成形があったんですね!?」
「そう!そこに完成形があるんですよね…。」
「おぉ ~その記憶があるから… (落海&河野のシンクロ)」
「その記憶を常に追求してるんですね。一体何があったんでしょうね~?その時、奇跡的に最高の味が出ちゃったわけでしょ? はぁ~(素晴らしさのあまり思わず出てしまった、ため息)」
「出ちゃったんでしょうね~」笑
「きっと珈琲の道に進めっていう暗示だったんでしょうね。」
「だって、もしそれが、美味しくなかったりしたら!!」
「そうっすね!やろうとは思わなかったかもしれないですよね!」笑
「実際に、近所の珈琲屋さんの師匠にも"あの味"の珈琲を持って行って飲んでもらいました。 その時、おいしいって言って頂いたんで、これは間違いじゃないな!!って(キリッとした表情で)」
「その時がまさに焙煎士としての人生が始まった瞬間なんですね!」
「ところで、手網焙煎だと味を安定させるのが難しいんですよね?」
「機械焙煎の場合は、煙が中でどうしても籠っちゃうんで、排気が結構大事なんです。 手網焙煎の場合は、排気が自由なんで、火だけを調節しとくと良いですし、豆にはストレスがかからないんですよね。 機械焙煎では、どうしても煙で豆が燻されてしまうので…。そういう手網焙煎の良い所もあって、奇跡が起こった――――!ってのがあると思います。("あの味"が出た奇跡)」笑
「へぇ~!運命の出会いですね。手網焙煎の"あの味"って言うのは。」
「まさに、将来を決める運命の出会いですね。」
「真下さんは今でも、手網焙煎はするんですか?」
「今では、あんまりやらないですけど、きんせ旅館のスタッフさんとかお客さんには趣味でやる人が居て、 たまにおいしいの出来たら持ってきてくれるんですよ。 それでおいしいの飲むと、たまにはやってみたいと思っちゃいますね。でもこっち(機械焙煎)でそれを表現したい!っていう想いで毎日やっています。」

真下さんの珈琲に対する熱い想いに触れ、私も落海も真下さんの世界にどっぷり浸かった時間を過ごしました。
ここで場所をカフェスペースに移動します。そこで珈琲を飲みながら、今度はこれまで八清と関わってきたイベントなどについて話しました。

「いや~語りましたね~。いい時間でした。ところでお二人が初めて一緒にイベントしたのはいつ頃ですか?」
「fikaso第1号のアトリエ7.77のオープンハウスの時ですね!」
「アトリエ7.77には、小さな土間スペースがあり、そこで珈琲を淹れたら珈琲のいい香りが家中に漂って気分いいなぁ~と思って。」 (現在、アトリエ7.77は賃貸募集中
「自分は、真下さんの人柄がすごく好きで、そんな真下さんの周りの人達もきっと何か通ずる所があると思ってて、そういう人達とも繋がれたら面白いなと思ってお誘いしました。」
「次が、去年の第1回 町家 de マルシェですね。それが2回目ですか?」
「そうですね。今年の第2回 町家 de マルシェ(3月10日に開催!!)にも、もちろん真下さんお呼びしております!」
「今年の会場となる町家は、酒井さん(第3話で対談した設計士さん)と共同設計をしたところです。」
「えぇ~!そうなんですね!会場、楽しみですね。」
「何かイベントする!ってなると、まず『いわしコーヒー!』っていう思考回路になっていますね。」笑
「いつもずーっとあそこ(焙煎機のあるきんせ旅館のロビー)にいるので、そうやって(イベントに)呼んでもらえると、色々な人と話ができて嬉しいです。」
「出店者さん同士の繋がりとか、お客様との繋がりとか、何か良いご縁が生まれるとこちらも嬉しいです。」

"あの味"を探求する真下さんの姿は、ただただかっこいい!のひと言。
真下さんは、記憶に鮮明に残る"あの味"に巡り会ったとき珈琲に目覚め、以降日々焙煎を通じて珈琲豆と真摯に向き合ってこられました。 いつかまた"あの味"に再会したい。そんな運命的な再会を果たす場所に相応しい場所、それが"イッタリ"ゾーン♡ 焙煎機から溢れ出す珈琲豆の香ばしい匂いに導かれて集まる人々♡エントランスの庭が地域の憩いの場所になる!?な~んて、微笑ましい妄想を繰り広げる落海&河野なのでした。

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