
これからの
京町家
Scroll 京都の歴史あるまち並みをかたちづくる上で欠かせない京町家ですが、毎年800棟以上のペースで取り壊され、今も風情あるまち並みが損なわれ続けています。
その原因の1つに「京町家は夏は暑く、冬は寒い」という現代の気候に対応できていないイメージが定着していることが挙げられます。京町家は伝統構法のため基礎はなく、床下は隣家と繋がっている長屋形式のものが多いです。壁を共有しているため、隣家との隙間がほぼなく外壁の施工が困難で、新築なら行えるような気密性の確保や基礎断熱、外断熱の施工ができず、夏の暑さと冬の寒さは諦めて改修を行うケースがほとんどでした。
しかしこの度の改修では、まち並みに配慮し町家の外観を残しつつ、建物の内側に通気層と断熱層を設け、また樹脂製サッシや断熱ペアガラスを採用することで、「高断熱・高気密化」を図り、町家の風情と1年を通じた快適性の両立を目指しました。
「京町家は夏は涼しく、冬は暖かい」というイメージに変わっていくことを願って。
plan間取
大きい吹抜けがあるLDKは、開放感があるだけでなく空調の効率も考えられた優れもの。余裕のある玄関ホールの壁は漆喰仕上げのため調湿性があり、家に帰ると心地よい空間が迎えてくれます。リビングは小上がりを作り、家族と団欒したいときはリビング、もっとリラックスしたいときは畳の小上がりと、気分によって使い分けられるようゾーニングしました。2階は寝室とは別に洋室を設けているため、在宅ワークをしている方でも集中してお仕事に取り組めます。寝室にも小さな書斎を設けているので、二人で在宅ワークをお考えの方にも安心です。

photos写真
data数字で見る断熱
熱抵抗値
厚み | 熱抵抗値 | |
---|---|---|
天井 | 210mm | 5.6 |
壁 | 90mm | 4.6 |
床 | 80mm | 2.2 |
「熱抵抗値」とは、物質の中の熱の流れにくさを数値化したものです。数値が大きいほど断熱性が良いことになります。「これからの京町家」は壁を厚くし、その内側に通気層と断熱層を設けることで、温熱環境の効率化を図りました。熱抵抗値は天井は八清標準の約2.8倍、壁は約3.3倍、床は約2.0倍と、断熱性能の高い数値を出すことができました。
C値
1.3
C値とは、住宅の気密性能を表す数値です。その家の大きさ(面積)に対して、どの程度の面積の隙間が存在するのかを表しおり、値が小さいほど気密性能が高いということになります。気密施工をしていない一般的な家では10.0、省エネ基準(北海道・東北)では2.0、高気密住宅の目安としては、1.0以下が基準値となります。今回、京町家改修としては1.3という好成績を残すことができました。
UA値
0.41
UA値とは、外皮平均熱貫流率といって、どれくらい熱量が家の外に逃げやすいのかを表す数値です。この値が小さいほど断熱性能が高く優れているということになります。「冬は家の部材たちがどれだけ外に熱を出してしまい、夏は外の熱気をどれだけ室内に伝えてしまうのか」を数値で表したものです。省エネ基準値は0.87で、こちらも基準を達成しており、一年を通して暖房や冷房の効率が良く、少ない力で快適に過ごせることが期待できます。
STORYこれからの京町家ができるまで
目指したのは、“一年中居心地のいい町家”。100年以上前に作られた町家に、「高断熱・高気密」の省エネを実現するには多くの問題が立ちはだかります。工事中、さまざまな試行錯誤を繰り返しながら完成させることができました。「これからの京町家」が完成するまでの物語を、施工をしてくださった高断熱高気密専門工務店「有限会社ダイシンビルド」清水社長と、fikaso立ち上げメンバーであるDICETTA 酒井氏、八清 落海の鼎談で紐解いていこうと思います。
断熱との出会いは3年半前。
暖かさに衝撃を受けた
雪が降る日。
雪がしんしんと降る冬の日、ダイシンビルドさんで「高断熱・高気密」施工をされた酒井邸へ行った落海は、強い衝撃を受けた。
真冬にもかかわらず、玄関から半袖でいられるくらい暖かい。「高断熱・高気密」という言葉を聞いたことはあったものの、実際に体感したのはこのときが初めてだった。断熱というものに強く興味を惹かれたのも、このときだった。
普段、八清でも町家のリノベーションの際に断熱材や床暖房を入れて冬の寒さ対策は行っている。これまではそれが”町家リノベーションの常識”だと思っていたが、常識が覆された瞬間だった。
酒井邸での経験から、町家でも、もっとできることがあるのではないかと思いたち、酒井氏とともにつくり上げたリノベーション町家ブランド「fikaso」で、居心地の良い空間を更にグレードアップさせて、一年中居心地の良い家を作るプロジェクトを発足。
せっかくなら、”THE 町家”な佇まいの家で実現したいということで、今回この「これからの京町家」で「高断熱・高気密」施工に挑戦した。
ダイシンビルドさんが
「高断熱・高気密」に注目して
家を建てるようになった理由
ですが翌年、高性能グラスウールという断熱材を使用した家を作り、それの引渡しがたまたま冬だったんですね。もう暖かさにすごい感動して。「これはすごいな」という話になりました。断熱について意識して施工を始めたのは、その時からですね。
でもその当時、関西には断熱施工のやり方を教える人が誰もいなかったんです。グラスウールの詳しい施工の仕方がわからないので、グラスウール協会やメーカーに問合せてみたんですけど、仕組みを理解している方がいませんでした。するとメーカーの担当者から「これを考えたのは室蘭工業大学の鎌田先生と言う方なので、そちらに電話を入れてください。」と言わました。
それで先生にご連絡して直接お話を伺ったところ、問題がどんどん解決していきました。それから「高断熱・高気密」施工を重ねるうちに、仕組みや施工の仕方が徐々に分かってくるようになりました。 そうすると実際に北海道に行きたくなって。で、北海道に行くと、「吹雪の中アイスクリームを食べる」とよく言いますけど、本当にそんな感じなんです。もうそれは衝撃を受けました。今まで僕らも大阪で家づくりをやってて、2006~7年って言ったら、まだ機能性についてあまり注目したことがなかったので。重視されるのはデザイン性であったり、情緒性、斬新性とか、そんなのでしたから。 初めて性能というものを知って、「これは面白いな」という形でのめり込んでいったという感じですね。
断熱に力を入れて施工するようになってから作った家の数は、大型のリノベーションも含めると100棟くらいあると思います。
うちの他にもちゃんと断熱施工をしている業者や工務店もいっぱいあると思うんですが、僕らみたいに、温度や湿度を計測して燃費を計算して、それが合っているかとか、そういう風にやっているところはなかなか少ないと思います。鎌田先生から教えて頂いたのが僕らのスタートなので、どうしても学術的になってしまいますね。
SHS会…スタイロ・ハウス・システムの略称。高性能断熱材・スタイロフォームを使った木造住宅用の外張り断熱工法で作られた、SHS住宅を普及させるための組織。
「高断熱・高気密」住宅の
メリット、デメリット
それと、デザインの自由度が広がることですね。これまでは北側に大きな窓を設けると、どうしても寒いという問題があったり、西側だと西日が入って暑いとか、そういった問題があったと思うんですけど、その辺をクリアしていくことができます。設計士さんからは「寒いというクレームが出ないので、リビングを北側にもっていっても怖くなくなった」という声は頂いてますね。
町家だと、向きは最初から決まってますから。連棟で左右がない家が多いので、もう否応なしに南に向いてる家は開口部を南にするしかないんですが、そんな中で選択肢が広がると自由度が高まりますね。逆にデメリットはありますか?
全く断熱をしてない家では計算できないんですけど、ZEH※程度のUA値※0.6の家を0.3にしたという形で、光熱費を計算していくシミュレーションをしたんですが、それで計算すると大体10年で回収できます。
ZEH…ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの略。創エネ×省エネ×断熱で、家のエネルギー収支をゼロ以下にする住まいのこと。
※UA値…外皮平均熱貫流率。「どれくらい熱量が家の外に逃げやすいのか」を表す数値。この値が小さいほど断熱性能が高く優れている。
ダイシンビルドさんの
「高断熱・高気密」住宅で
暮らした感想
具体的に言うと、夏場はエアコン1台をロフトで点けておいて風を回してやると、大体どの部屋も涼しいです。設定温度も27~26度ぐらいで、ひと夏そのままいけるというような感じです。極端にエアコンの設定温度を下げたりすると寒くなりすぎるので、ちょっと暑いかなぐらいで、常に点けておくと全館空調のように効きます。
冬場は床下エアコンというものを採用していて、それもどの部屋も暖かいんですけど、特に洗面所やトイレが一番温かかったりします。断熱・気密施工をしていない家に比べると、非常に快適だと感じます。
「高断熱・高気密」の家を
設計にあたり意識していること
吹き抜けを作ることは、温熱環境としても少しのエネルギーで家全体をコントロールできるという、空調的にもメリットがあるんですね。その分、床面積を大きくしなかったことで、仕上げの質を上げたり、それ以外のところに振り分けるみたいなところを意識して設計しています。
もちろん、大きい家がいいという方には大きく作ったりもするんですけども。そんなところを意識してますね。
織屋建(おりやだて)…織物のまち、西陣に多く見られる町家の形式。住居に繊維工場を兼ねており、表から見ると普通の2階建だが、奥へ進むと吹抜けの作業場が広がっている構成。

町家で気密性・断熱性を実現する挑戦
でも頭の中でイメージはできても、結局実際に施工できるかっていうところは大工さんに聞かないと分かりません。そのスケッチをもとに落海さんと、次は現場で大工さんと打ち合わせしながら、断面構成を決めていったという感じで進めていきました。ちょっと1人ではできなかったかなという工程によって、気密性と断熱を今回実現できたかなと思ってます。
私も初めての試みだったからどう指示していいのか分からない状態で、逆にもう教えてもらわないと、まず原理もよくわかっていなかったので。それはやっぱり大工さんがあっての、この町家の改修が出来たというのはすごく感じました。


これからの京町家
八清だけでなく、町家の改修を考えている多くの方は、夏の暑さや冬の寒さをどのようにクリアするかという問題を抱えています。その問題に正面から向き合い、これからの人生を豊かにできる、温熱環境を科学した家を今回実現させることができました。
実際に現地に来て快適さを体感することで、断熱に対する考え方や、長く住み続けられる、環境と人にとってより良い持続可能な暮らしについて意識していただける機会になることを願っています。
是非、「1年中居心地のいい家」の居心地の良さを体感しにいらしてください!
open houseオープンハウス
\はじめてのオープンハウス開催!/
2022年7月30日(土)
13:00~16:00
(予約不要・自由内覧会)
※当該物件はオープンハウス当日まで内覧を承りません。ご都合の合わないお客様は、大変恐縮ですがお問合せフォームよりオープンハウス開催日以降をご指定の上、内覧予約をお願いいたします。
location立地
京都市北部に位置する「紫野」エリア。大徳寺や今宮神社などの歴史や文化を感じられる史跡があるだけでなく、周辺には生活に便利なスーパーやドラッグストア、銀行に郵便局、パン屋さん、カフェなどが一通りそろっており、歩いたり、自転車を使って行ける範囲で毎日の暮らしが楽しめる界わいです。
京都駅からは少し遠く感じるかもしれませんが、バスを使えば京都駅や市内中心部にも乗り換えなしでアクセスでき、便利に暮らせる地域となっています。
小さなカフェ、こだわりの専門店、ここにしかない個性的なお店や、京都の人が普段使いする隠れた名店が多く、物件のすぐ裏には京都を代表する歴史ある銭湯のひとつ、「船岡温泉」もあります。ここに暮らせば、自分だけのお気に入りのお店を探す毎日が楽しめそうです。


virtualtourバーチャル内覧
画面をドラッグ/スワイプしたり、画面内の矢印やアイコンをクリック/フリックすることで室内の様子がご覧いただけます。
details物件概要
価 格 | 7,480万円 |
---|---|
種 類 | 中古住宅(京町家) |
所在地 | 京都市北区紫野南舟岡町46番38 |
きたく むらさきの みなみふなおかちょう | |
交 通 | 地下鉄烏丸線「鞍馬口」駅2番出口 歩約19分 |
京都市バス「乾隆校前」停 歩約7分 | |
敷地面積 | [公簿]92.03m²(約27.83坪) |
私道負担 | 無 |
建物面積 | [公簿]1階:29.75m² 2階:24.79m² 延べ:54.54m²(約16.49坪) (附属建物:工場/木造平家建/24.79m²) |
[現況・簡易テープ測量] 1階:約70.03m² 2階:約44.95m² 延べ:約114.98m²(約34.78坪) ロフト:約4.27m² |
|
築年月 | 不詳(閉鎖謄本によると昭和33年7月の記録有) |
建物構造 | 木造2階建 |
間 取 | 1LDK + 納戸2か所 + ロフト + 庭 |
改 装 | 2022年5月全改装済 |
水廻りの新調(浴室・キッチン・トイレ・洗面等)、外壁補修及び塗装、建具の新調(外部・室内)、内装のやり替え、床フローリングの張り替え、畳の新調、植栽など |
接道状況 | 幅員約3.71m~約3.74mの南側道路(42条2項)に約5.57m接道 |
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幅員約3.12m~約3.15mの北側道路(42条2項)に約5.63m接道 | |
設 備 | 上下水道・都市ガス・電気 |
用途地域 | 準工業地域 |
法令制限 | 15m第三種高度地区、準防火地域、旧市街地型美観地区、遠景デザイン保全区域、屋外広告物第3種地域、西陣特別工業地区、居住誘導区域 |
建ぺい率 | 60% |
容積率 | 200% |
引渡し | 即日 |
現 況 | 空家 |
地 目 | 宅地 |
土地権利 | 所有権 |
地 勢 | 平坦 |
都市計画 | 市街化区域 |
小学校 | 紫野小学校 歩約8分(約577m) |
中学校 | 嘉楽中学校 歩約10分(約786m) |
国土法届 | 不要 |
備 考 | ※写真内の動産類は販売価格に含まれません。 ※再建築時にセットバックが約3.2m²必要です。 |
取引態様 | 売主(※売主につき、仲介手数料は不要です) |
担当者 | 落海(おちうみ) »プロデューサーページ |
最終更新日 | 2022年8月8日(月曜日) |
次回更新予定日 | 2022年8月18日(木曜日) |

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