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<壁塗り左官体験会 in下鴨茶論 > 2010年4月 (終了)

左官体験会 開催報告

4月後半の週末を利用して、壁塗り左官体験会を開催しました。

「手作り感」や「作り手の想い」を大切にするNOSTAのこだわりを知ってもらうための企画です。
会場は、設計物語を更新中の京町家「下鴨茶論(サロン)」の工事現場。

講師には、ハチセの改装現場でいつもお世話になっている小屋工業所の左官職人さんである渡辺さんと谷口さん、
フェザーフィールという天然素材を使った塗料を扱う、株式会社プラネットジャパンの担当さんをお迎えし、
参加者の方には約2時間半、壁塗り体験を楽しんで頂きました。

今回の体験会は、3種類の壁塗りが体験できる企画です。

3種類の塗料

 まずは、3種類の壁塗り材のご紹介から。

①漆喰(しっくい)・・・
石灰に砂や糊等を混ぜて、ひび割れを防ぐために植物の繊維質を加えて水で練り上げた日本古来の壁の仕上げ材。
今回の体験会では、鏝(コテ)を使って塗っていきます。

②珪藻土(けいそうど)・・・
植物の藻が化石化して出来た土を使用した壁の仕上げ材。
今回は塗料メーカー、四国化成さんの「リフォーム用珪藻土」をカラフルに着色して使います。
こちらも鏝(コテ)を使用します。

③フェザーフィール・・・
ドイツ製の本漆喰。カゼイン(牛乳たんぱく)と大理石で出来た塗料。
もとはサラサラの小麦粉のような粉に、6分立ての生クリームくらいの感触になるまで水を混ぜました。
こちらはローラーを使用して塗ります。

これらの異なる材料ごとに下鴨茶論の会場内を3つに分け、 壁塗り体験をしながら順番に回ってもらいました。

会場①漆喰塗り

 こちらは漆喰塗りの会場。

初めに左官職人の谷口さんから説明してもらい、実際の塗り方を見せて頂きます。
「タネ(漆喰)をこの板の上に載せる。鏝(コテ)を使って板の上で少し捏ねて・・・すくって、壁に塗る。」
職人さんが実にテンポよく、リズミカルに壁を塗っていく様子を見ていると、結構簡単そう?

そして説明の後に、参加者の方に早速壁を塗ってもらいます。

漆喰塗りの様子

実際に壁を塗ってみると、

「ん?漆喰がすくえない・・・」
「漆喰があんまり伸びない・・・」
「表面が凸凹に・・・」

など、皆さん苦戦している様子。見ているのとはだいぶ勝手が違うようです。
しかしそこは職人さんが上手に教えて下さいます。
鏝(コテ)の使い方から、力の微妙な入れ加減を丁寧に教えていただき、
だんだんと慣れてくると、参加者の皆さん、思い思いに壁塗りをされていました。

 続いては、カラフルな珪藻土塗りです。

こちらでは、左官職人の渡辺さんに教えて頂きます。

漆喰塗り

ざらざらとした土の感触のある材料で、先ほどの漆喰塗りに比べると塗りやすいといった意見も聞かれました。
カラフルな顔料を混ぜて使っているので、いろんな色が混ざってまるで絵を描いているよう。
絵具と同じように、色と色を混ぜ合わせて違う色を作って楽しむこともできるんですよ。

壁塗りに慣れてきたところで、職人さんが面白い壁の仕上げを教えて下さいました。
①珪藻土を壁に塗り塗り・・・
②おもむろに珪藻土の下に貼ってあったテープをはがすと・・・
③テープを貼っていた部分がきれいに剥がれて模様が現れました。
店舗などの壁にはこんな自由な発想で考えられた模様が使われていることもあるそうです。

参加者の中には、こんなアーティスティックな壁を作られた方も!
静岡出身の方が描かれた赤富士(左)と、もうひとつはパイナップル(右)。
写真でははっきり写っていませんが、パイナップルの表面にはコテを使ってちゃんと網目模様も入っています。

 最後は2階のフェザーフィールの会場へ。

1日目についてはフェザーフィールを扱っている、プラネットジャパンの担当さんが講師として来てくださりました。
塗り方をわかりやすく説明していただきます。

まずは、壁(この会場では、約1m×2mのパネル1枚分)の端を細いブラシで丁寧に塗ります。
おそろいの白いジャンパーを着たプラネットジャパンの担当さんが、一緒に塗りながら教えて下さいます。

次はローラーを使い、塗料の厚みが均一になるように塗っていきます。
ローラーを使って塗ると、こんな広い面でも一気に塗れてしまいます。
しかもこの塗料は、乾くとムラが目立ちにくくなるので、初めて壁塗りをされたという方でも、
皆さんかなり綺麗に塗っておられました。
(右の写真が参加者の方が塗られた壁。乾くともっとムラが目立たなくなる)

「これなら家の壁も自分で塗れそう」
「自分でリフォームやってみようかな」

といった意見が3つの材料の中では一番たくさん聞かれていました。

 最後に・・・

会場ではたくさんの壁塗り材を使っているにもかかわらず、ペンキなどを使った時に出る、シンナー臭いにおいが全くしません。
漆喰はほのかに石灰(グラウンドに白線を引く時の粉)のにおい、フェザーフィールはかすかな牛乳のようなにおいがするくらいでした。

科学物質の入った材料で壁を塗ると、塗った後しばらく換気していないと揮発性のシンナーのような化学薬品のにおいが気になりますが、
今回使った3つの壁材は天然素材を使用しているので、そういった点でも安心して使えることが良くわかります。
実際に壁に使うと、調湿・防火・臭いの吸着作用などもあり、体に優しい材料でもあります。

初めて壁塗りを体験される方も多かったのですが、グループで参加された方やお1人でご参加の方も、
思い思いに壁塗りを楽しんでおられる様子が伝わってくる、アットホームな体験会になりました。
ご参加頂いた皆様、本当にありがとうございました。

そして、材料の準備や丁寧な指導をして頂いた小屋工業所の谷口さん、渡辺さん、
株式会社プラネットジャパンさん、大変お世話になりました。ありがとうございました!


参加者の皆さんの使用した鏝(コテ)(写真左)
左官職人さん(谷口さん)が漆喰に模様を付ける手元(写真中)
谷口さんに見せて頂いた左官の道具(写真右)