
Plologue プロローグ・・・改装前の家を訪れて
建物に最初に訪れたのは、紅葉が色づき、京都にはもみじがりの旅行者が多くなる、11月の終わり頃。
JRの二条駅を降り、東西の通り「姉小路通」を東に向いてテクテクと進みます。
「姉小路通」は車通りの多い御池通りの一本南側に位置していますが、並んでいる建物は住宅が多いため
町なかにあるとは思えない程静かな通り。その通りをしばらく行くと、右手に公園が見えてきます。
平日の昼間の公園には、ゲートボールを楽しむお年寄りの姿が見られたりして、なんだかのんびりした空気。
公園のある角を超えてさらに真っ直ぐ、東へ向かってしばらく行くと、昔懐かしい床屋さんの
クルクル回る看板の付いた角が見つかります。そこまで来ればもう目的の家の近く。
床屋さんの角を渡ってちょっと行ったところに、姉小路通りに面して建つ建物が見つかります。

建物は年月を重ねた佇まいを見せる京町家。京町家の意匠である、火袋や通り庭が残る室内には、
大正〜昭和の初期に流行したような、ばね式の扉や型板ガラスの嵌まる建具、腰壁の板張りなど、
細部に洋風モダンな趣きも少し含まれています。そしてよほど大切に住まわれてきたのか
建物は状態が良く、家に入って感じたのは、おばあちゃんの家を訪ねた時のような感覚。
新築の家やマンションに住みなれていても、おばあちゃんの家や田舎のおじちゃんの家に行くと
ホッとしたり、懐かしい感じを覚えたりする感覚。昔から残るものが重ねた時間から来る、その
存在感と安心感、古いものの持つ魅力をこの家に感じました。
波打つ型板ガラスから入る光を楽しんだり、木製建具の味わいある佇まいをあえて楽しんだり。
火袋に開けられた明かりとりの窓から柔らかく光の射す台所に、家の雰囲気に似合う白いタイルの
張られた作業台。建物の2階の窓から表の通りを見ると、レトロな洋風の手すりの先に、町家の
連なる通りの様子。
この家が住み継がれて行くことで、さらに味わい深く、居心地の良い住まいへとなるよう、今回の
リノベーションでは、家の雰囲気を出来るだけ損なわない形で、住み心地を工夫されたプランが
考えられました。

京山々(きょうさんざん)・木の家づくりの会は「山のめぐみを山に還す…。」



