「吉本新喜劇」

関西人のDNAとも云われるこのお笑いの劇場だけが、唯一私が劇場というものに足を運んだことがある場所です。

そんな私が現在、「京都に100年続く劇場を!」という呼びかけで進められているプロジェクト、劇場『Theatre E9 Kyoto』の立ち上げに関わっています。

 

申し遅れました、今回のスエヒロガリの担当をさせていただきます八清プロパティマネジメント部の青山です。宜しくお願い致します。

演劇どころか音楽や美術、凡そ芸術というものに縁のない私が、劇場の立ち上げに関わることになったところからお話ししましょう。

プロローグ

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発端は、現在の劇場プロジェクトメンバーであり、かつて私が賃貸の町家をお世話させて頂いた八清のお客様、蔭山さんからのお話でした。

今から1年前の2016年7月に、

「下鴨で33年間にわたり、個人で支えてきた『アトリエ劇研』という小劇場が、館主の高齢により無くなります」

「今から1年後のほぼ同時期には、アトリエ劇研を含む5つのスペースが閉鎖され、ロームシアターのノースホールを除き京都からブラックボックスと呼ばれる小劇場が無くなります

「このままでは若手アーティストが作品を発表する場所が無くなり、京都から芸術の灯が消えてしまいます」

「彼らが活躍できる場所として、劇場に転用できるような物件がないでしょうか」

という熱い思いを語られました。

 

話を聞いた弊社代表の西村が

「南区に自社で使用中の大きな倉庫(九条倉庫)があります。そこを劇場に利用できれば面白いですね」

と話をしたところ、すぐに見学していただくことになりました。

この九条倉庫は今年の3月8日「町家の日」に八清がガラクタ市 を開催した場所といえば、ご存知の方もおられるかと思います。

ガラクタ市の時は大勢の人にお越しいただきましたが、普段は八清が改装で使う予定の古建具を中心に様々な資材や備品を置いている場所です。

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このあと劇場プロジェクト『Theatre E9 Kyoto』の母体となる「一般社団法人 アーツシード京都」の代表理事で劇作家のあごうさとしさん、狂言師の茂山あきらさん、現代美術作家のやなぎみわさん、理事の關秀哉さん、浜村修司さんにも見学いただき「この立地、大きさ、雰囲気」が時代を担うアーティストが誕生するに相応しいと評価されました。

動き始めたプロジェクト

劇場にするにあたり、八清が思う理想の賃料とプロジェクト遂行にあたっての資金的な課題、老朽化に伴う構造の問題などの課題が次々と出てきました。

現在八清の九条倉庫がある「東九条」は、京都駅から徒歩圏内にありながら開発が進んでいない地域でした。

京都市は世界を視野に入れた新たな文化行政、文化交流を推進していくうえで、このエリアを重要地域と位置付ける「京都駅東南部エリア活性化方針」を掲げています。

具体的には、平成35年度の京都市立芸術大学の移転 が予定されています。

八清は不動産業者です。九条倉庫のある場所も、将来的には収益化する不動産と考えていましたが、このエリアの活性化につながるならばと、賃料の交渉に応じています。

また先日は、アーツシード京都のメンバーと代表の西村と一緒に門川市長へ表敬訪問 し、今回のプロジェクトの説明を行い、ご協力をお願いしてきました。

建物構造についてはプロジェクトメンバーの一人で、国内外の建築賞を数々受賞されている一級建築士の木津潤平さん に指揮を執って頂いており、すでに改装プランができあがっています。

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九条倉庫のかつての所有者は、居住しながら、ここを倉庫や作業場として使用していました。

今回の改装により劇場を使う劇団員やギャラリーを使う作家が、寝泊まりしながら、稽古や制作、舞台発表までを行うことができるようになる予定です。

『Theatre E9 Kyoto』の劇場形式は、大劇場にはない小劇場ならではの「ブラックボックス」と呼ばれる空間であり、座席や舞台に可変性を持たせて、演目によって自由に表現することができます。

また1階の吹き抜け部分では、最高約10メートルの天井高を活かした芸術作品の展示やパフォーマンスが可能となります。

プレス発表

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今年の6月26日には『Theatre E9 Kyoto』呼びかけ人代表の御厨貴先生はじめプロジェクトメンバーが集い、テレビ局や新聞社合計50名以上の方にお越しいただきプレスリリースを行いました。

プレス発表の目的は、クラウドファンディングによる寄付金集めです。

老朽化した倉庫を劇場にするためには総額で8550万円の費用が最低でもかかります。

初期の段階で構造計算・設計・許可申請にかかる経費として1400万、基礎工事費に2000万円、改修工事費の一部と運営費に2000万、最終備品購入に650万と改装工事の残金として2500万円が段階的に必要となってきます。

この日からクラウドファンディングReady Forで初期にかかる1400万円の支援募集を開始しました。

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プロが行うプレスリリースは私には印象的でした。

広報を担当する芥川さんは、メディアへの事前連絡、リーフレットやパンフレットの作成で少しでも良いものに仕上げようと直前ギリギリまでの作りこみ。

現場を取り仕切る浜村さんは、発表当日に機材による電気容量が不足しないように、回路と容量を何日も前に確認しに来られていました。

当日は、ほぼすべての機材や椅子(80人分)や机をワンボックスカー1台に詰め込んで、搬入・設置し、終了後の撤収の早さ、全てにおいて無駄のない仕事ぶり。

次に使う時のための撤収の仕方では、ドラム(電気配線)の巻き方一つにも感心させられました。

『Theatre E9 Kyoto』は演劇だけでなく、芸術家の創作活動の場としてのアトリエ、作品を展示するギャラリーとして、また地域の人たちとも交流できるカフェとして多くの方の芸術への熱い思いの元、誕生しようとしています。

成功に向けて

8月19日には応援企画として、7月30日に閉館したミニシアター『立誠シネマ』と『Theatre E9 Kyoto』のメンバーによるトークイベントが、京都カラスマ大学主催で行われることになりました。

トークテーマは「市民による文化拠点が生まれる前夜の集会〜クラウドファンディングについて知りたい2、3のこと〜」。

京都駅八条口にあるワコールスタディホールにて開催される予定で、弊社代表の西村も参加します。

『立誠シネマ』は、木屋町にある元・立誠小学校で、単館系映画の上映や映画関連のトークイベントを開催し、京都の映画ファンに愛されてきました。

元・立誠小学校がホテルを中心とする複合施設として再開発されるにあたって、閉館することになり、出町柳の出町枡形商店街内に『出町座(仮)』として移転するそうです。

書店やカフェも併設されることになっており、移転・運営資金をクラウドファンディングで募っています。

前拠点の閉館に伴い、クラウドファンディングで支援を募り、京都の芸術文化をつないでいこうという点で、『Theatre E9 Kyoto』と非常に似た境遇であるといえます。

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先ほど述べましたように、数々のクリアしていかなければならない課題があります。

まずは建物の構造などのチェックや補強に係る費用が必要です。

クラウドファンディング「Ready for」では9月22日午後11時まで、劇場立ち上げのための寄付を募っています。

初期の1400万円が集まらなければ次の段階に進むことができません。

ここ京都で生まれようとしている「100年続く小劇場」に皆様の温かいご支援をお願いします。

 

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